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  • 2021/03/19 掲載

京都銀行らが語る、強い地域経済への「ベンチャー×金融機関」その成功法則とは何か

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大都市圏以外の地域は、人口減少や高齢化、事業承継の問題など、厳しい環境に置かれている。しかし、こうした地域でもデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進して強みを発揮し、大企業と連携するケースは増えている。「ベンチャー×金融機関」とその成功法則について、京都銀行 専務取締役 阿南 雅哉 氏、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(こゆ財団) 代表理事 齋藤 潤一氏、nCinoの代表取締役社長 野村 逸紀氏、Forbes JAPAN 編集長 藤吉 雅春 氏(モデレーター)が語った。

フリーライター 吉澤亨史

フリーライター 吉澤亨史

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

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強い地域経済をつくるために有力な「ベンチャー×金融機関」の取り組みについて識者が語った
(出典:nCino Summit Japan 2021)

※本記事は、2021年2月4日に行われた「nCino Summit Japan 2021 」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。肩書は当時のものです。

強い地域経済に有効な「地域金融機関×ベンチャー企業」

 強い地域経済を実現する1つの方法とは何か。その1つとして、地域の特色を生かしたユニークなベンチャー企業と、その活動をバックアップする金融機関の存在が挙げられる。

 京都銀行は設立当初からベンチャー企業を支援する文化が受け継がれている金融機関だ。たとえば、産学官金連携のベースとなる「京銀活き活きベンチャー支援ネットワーク」をはじめ、「京銀輝く未来応援ファンド」など複数のベンチャー支援策やイベントを展開している。同行の専務取締役である阿南 雅哉 氏は次のように語る。

「投資だけでなく、他業態との連携ネットワークの拡充など、トータルで創業支援ができるようサポート体制を整えています。それが地域金融機関の役割であると考えています」(阿南氏)

 一方、こゆ財団は観光協会を解散して"稼げる地域商社"として設立された宮崎県に拠点を置く一般財団法人だ。1粒1000円のライチをブランド化するなど、複数の施策を進めている。同財団の齋藤氏は、ベンチャーの立場から次のように述べる。

「地方で最も重要なことは、起業家精神を持つ人をたくさん作ることです。そして小さなビジネスをたくさん立ち上げ、それらを集合体にすることで地域が活性化します。そのためには、地域の金融機関に育成支援をしていただくこと、そして地域を活性化するためのセーフティネットの役割を期待しています」(齋藤氏)

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京都銀行の専務取締役である阿南 雅哉氏
(出典:nCino Summit Japan 2021)

 こゆ財団のケースでは、地域の金融機関と一緒になってカルチャーを作っている実感があるという。このような、金融機関とベンチャーのタッグにより地域が活性化する例は少なくない。Forbes JAPAN誌の編集長である藤吉氏は、京都のミツフジという西陣織の帯を作っている会社を挙げる。

 Forbes JAPAN誌では、2018年から「スモール・ジャイアンツ」というアワードを実施している。これは、組織は小さくても大きな価値を持つ企業を表彰するというもので、その第1回のグランプリがミツフジだった。

「同社は経営の悪化に対処するため、3代目の社長がIoTウェアラブルの分野に進出しました。その後は米IBMのグローバルパートナーになっています。京都銀行は、京銀輝く未来応援ファンドで同社に出資しています。これも素晴らしい成功例だと思います」(藤吉氏)。

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モデレーターを務めたForbes JAPAN誌の編集長である藤吉 雅春氏
(出典:nCino Summit Japan 2021)

こゆ財団の成功事例に見る地方の「伸びしろ」

 強い地域経済を実現することに取り組んでいるこゆ財団は、「世界で一番チャレンジしやすいまち」をキャッチフレーズに掲げている。代表理事である齋藤氏は、シリコンバレーのIT企業でブランディング・マーケティングディレクターを経て、帰国後は東日本大震災を機に地域経済の活性化に取り組み、全国各地で地方創生プロジェクトを成功させている。

 その中で日本に最も足りないものは、チャレンジ精神とチャレンジを奨励する文化であると感じたという。つまり、チャレンジする総量が増えれば成功する確率も増えると考えた。

「こゆ財団が地元の金融機関と連携しながら活性化しているのは、私たちが中間支援団体として産業と銀行をつなげて地域会議を推進していることが大きいと思います。チャレンジしやすい社会を作ることでスピードが増し、効率的に事業を推進できるのです」(齋藤氏)。

 では、どんな地域にも活性化できる「伸びしろ」はあるのか。齋藤氏は「伸びしろしかない」と語る。

「地方の強みは間違いなく第1次産業であり、そこに最も必要なのがDXです。私たちも銀行とともに農業用ロボットで課題解決に取り組んでいますが、これもDXです。地方の第1次産業には大きいチャンスがあり、DXの活用で、その伸びしろは何十倍にも増えるでしょう」(齋藤氏)。

 では、こうした取り組みが今まで成功しなかった理由は何か。齋藤氏はテクノロジーとビジネスを分かる人が少なかったことを挙げる。しかし、今は政府が「Society 5.0」や「働き方改革」を推進しており、その方策としてリモートワークや地方への移住を呼びかけている。今はその過渡期であるとした。

 また、nCinoの代表取締役社長である野村氏は、そこで金融機関に求められる役割を次のように述べる。

「日本には今、齋藤さんのような方がたくさんいて、その方々が挑戦しやすい環境を作ることがとても大切だと感じます。そして、チャレンジするには金融機関の支援が必要であり、正しいタイミングで、正しい融資が、正しい人に届くことが最初のステップになる思います」(野村氏)

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nCinoの代表取締役社長である野村 逸紀氏
(出典:nCino Summit Japan 2021)

【次ページ】地域経済の飛躍に必要なDXとは

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