• 2026/05/21 掲載

精度99.3%「AIコンタクトセンター」の衝撃、T&D生命が“採用前提”から脱却するワケ

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コンタクトセンターは「人を増やして対応する」──それが長年の常識だった。しかしある生命保険会社は、その前提を見直そうとしている。AIを活用してコンタクトセンター全体を再設計する「AIコンタクトセンター」構想の中でも、特に注力したのが、音声による一次対応を担う「AIオペレーター」だ。「一定数以上の採用は控えよう」。この決断を成立させたのがAIだった。用件振り分け精度99.3%。その裏側には、単なる効率化ではない“オペレーション構造の転換”があった。T&Dフィナンシャル生命の執行役員である賀來 邦彦氏が、その舞台裏を語った。
取材・構成:編集部 山田 竜司
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T&Dフィナンシャル生命が始めたAIコンタクトセンター、“採用前提”を覆す業務再設計とは
(画像:Gemini/Nano Banana)

2024年の円安局面が示した、新たな気づき

 T&Dフィナンシャル生命は、T&Dホールディングス傘下の生命保険会社だ。太陽生命、大同生命と並ぶグループ主要3社の1つで、内勤職員は303名。規模としては大手生保ほど大きくはないが、全国の地方銀行など多様な乗合代理店を通じて商品を提供する、独自のビジネスモデルを展開している。

 このビジネスモデルは、コンタクトセンターに独自の役割と課題をもたらしていた。問い合わせの窓口は、保険契約者であるエンドユーザーと、商品を販売する代理店の双方に向けて開かれている。特に代理店からの問い合わせでは、商品設計の細かな仕組みまで説明する必要があり、オペレーターの育成には時間と専門性が求められていた。

 そして2024年、転機が訪れる。 急激な円安で為替が160円台に達した際、外貨建て保険を多く扱う同社には、解約や問い合わせが一気に増加した。

 この出来事を通じ、外貨建て商品を扱う限り、市場変動に伴う問い合わせ急増は今後も起こり得る“構造的な課題”だと同社は捉えた。

 T&Dフィナンシャル生命の賀來邦彦氏は、この経験をきっかけに「従来のやり方を見直す必要性」を強く感じたという。賀來氏は以下のように語る。

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T&Dフィナンシャル生命
執行役員
賀來 邦彦氏
「さまざまな対応策を考えました。オペレーターを急激に増やすか、別の道を選ぶか。しかし採用環境は厳しく、集まっても教育研修に時間がかかる。委託会社に大量採用を依頼すればコストインパクトも大きい。採用とコスト、どちらを考えても従来の手段では解決が見えてこない状況でした」(賀來氏)

 さらに2028年4月には、好調に販売してきた5年満期の保険商品が一斉に満期を迎える。問い合わせの急増は確実だった。

 この避けられない構造変化を前に、同社は1つの決断を下す。

 「一定数以上の採用は控えよう」。それはコスト削減ではない。「人でスケールするモデル」を前提としたオペレーションそのものを見直す、経営レベルの判断だった。

 ここからAIオペレーターの構築が本格的に始まる。

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AIコンタクトセンターとは?
【次ページ】「段階的AI導入」と 現場の不安を払拭した“ある設計思想”
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