- 2026/10/20 07:00 掲載
JPモルガン利益圧勝でもゴールドマンが際立つワケ…米大手金融4社の決算を大解剖(2/2)
ゴールドマンは株式、JPモルガンは金利…「稼ぎ方」の違い
ゴールドマンの高いROEを支えたのは、株式関連ビジネスだ。米SECへの提出資料 によると、株式部門の収益は前年同期比72%増の64億4,100万ドル(約1兆200億円)と、全社収益の3分の1を占めた。中でもヘッジファンドなどへの資金提供に関わる収益が96%増、株式・デリバティブ取引の仲介収益が52%増だった。JPモルガンも株式市場部門は49%増だったが、債券などの市場部門は4%減。ゴールドマンも債券・為替・商品関連が1%減だった。
ゴールドマンは住宅ローンや信用商品、金利関連商品の取引収益が減少し、通貨・商品関連の増収では補いきれなかったという。一方、シティは株式関連が14%増、債券関連も4%増だった。
さらにゴールドマンの投資銀行手数料は21%増。M&A(合併・買収)の助言業務や株式引き受けが業績を支えた。さらに資産・富裕層運用部門の収益も14%増えている。
対するJPモルガンは、預金や貸出から稼ぐ純金利収入が13%増。ただし市場業務を除くと6%増だった。シティは国際送金・決済などのサービス部門が15%増、ウェルズは平均貸出残高と平均預金残高がともに11%増となった。
株式相場の活況を利益に変えるゴールドマンと、幅広い顧客基盤を収益につなげる各銀行。それぞれの強みが今回の決算に表れた格好だ。
株式相場が崩れても大丈夫? 金融機関の強さ見抜く3つの視点
4社の今後の勝敗を占う上で、特に重要なのが次の3点だ。第1は収益の再現性。ゴールドマンの株式部門は前年同期比で急拡大したが、前四半期比では13%減だった。相場の変動や大型案件に左右される利益を、どこまで安定して積み上げられるかが試される。
第2は費用効率だ。収益に占める経費の割合を示す経費率は、JPモルガン54%、シティ58.5%、ゴールドマン60.5%、ウェルズ63%となる。事業構成や算定方法に違いはあるものの、JPモルガンはひときわ低い。
JPモルガンの経費は前年同期比12%増と、収益の8%増を上回った。一方、ゴールドマンの経費は20%増で、収益の23%増を下回っている。
第3は貸倒リスク。ウェルズの決算説明資料によると、信用損失費用は前年同期の6億8,100万ドル(約1,080億円)から10億2,900万ドル(約1,630億円)に増えている。
ただし、実際に回収不能となった債権の純償却額は前年同期比で小幅増にとどまる。引当金が取り崩しから積み増しに転じたことが、費用増加の主因だ。ウェルズは商工業向け融資や自動車ローンの残高増加を背景に挙げており、信用状態の全面的な悪化とは言えないだろう。
一方、JPモルガンの信用損失費用は前年同期比19%減だった。金融機関の収益力を見るには、金利収入の伸びだけでなく、貸出先の信用状態や引当金の動きも押さえる必要がある。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、米経済を企業投資と個人消費が支えているとしながらも、「巨額の財政赤字、根強いインフレ、資産価格の高騰、上昇する金利、地政学情勢」に警戒を示している。
今回の決算では4社はそろって増益した。しかし、株式取引で伸ばした利益と、融資・決済で積み上げた利益では、その持続性もリスクも異なるのは当然だろう。重要なのは、どれだけ稼いだかではなく、何が利益を生み、何がその利益を脅かすのかをしっかりと見極めることだ。
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