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- 2026/06/26 掲載
フロンティアAI企業はなぜ「Stripe」を選ぶ? 日本企業が学ぶべき「4つの観点」
FINOLABコラム
FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。
Stripeの誕生、「数行のコード」が与えた衝撃
現在、世界中の多くのインターネットサービスがStripeを利用して決済を行っている。しかし、その出発点は極めてシンプルな問題意識だった。2010年、アイルランド出身のパトリック・コリソン氏とジョン・コリソン氏の兄弟は、インターネット上で決済機能を実装することの難しさに着目した。当時、オンライン決済を導入するためには、銀行や決済事業者との複雑な契約、長い審査期間、そして専門的なシステム開発が必要であり、多くのスタートアップにとって大きな障壁となっていた。
Stripeはこの課題を、「わずか数行のコードで決済機能を実装できるAPI」という形で解決した。開発者は銀行や決済ネットワークの複雑な仕組みを理解する必要がなくなり、サービス開発そのものに集中できるようになったのである。これは単なる決済サービスの改善ではなく、「金融機能をソフトウエアとして提供する」という新しい発想の始まりだった。
開発者第一主義が生んだ「金融インフラ」の覇権
Stripeが急速に普及した理由は、単に決済を簡単にしたからではない。同社は創業当初から徹底した「Developer First(開発者第一主義)」を掲げていた。分かりやすいAPI設計、充実したドキュメント、テスト環境(Sandbox)、詳細なエラーメッセージなど、開発者体験(Developer Experience:DX)を徹底的に磨き上げたのである。従来の金融サービスが銀行担当者との交渉や紙の契約を前提としていたのに対し、Stripeはソフトウエア開発者が自ら導入できる仕組みを提供した。その結果、スタートアップ企業がサービスを立ち上げる際の事実上の標準インフラとなり、Yコンビネーター(Y Combinator)をはじめとするスタートアップ・エコシステムの中で急速に支持を拡大した。
後にOpenAIやAnthropicなどのAI企業がストライプを採用した背景にも、この「開発者に最も使いやすい金融サービス」という思想がある。
決済だけじゃない? 企業活動を支配する「金融OS」
Stripeの真価は、決済事業そのものではなく、その後の拡張戦略にある。同社は決済サービスを起点に、企業活動に必要な金融機能を次々と取り込んでいった。まず、サブスクリプション管理や請求業務を支援する「Stripe Billing」を展開し、SaaS企業の成長を支援した。続いて、不正利用対策を担う「Stripe Radar」、世界中の起業家が米国法人を設立できる「Stripe Atlas」、マーケットプレイス向けの「Stripe Connect」、カード発行機能を提供する「Stripe Issuing」などを次々と投入した。
これらは個別のサービスではなく、1つのプラットフォーム上で連携して機能する。その結果、Stripeは決済会社から、企業活動を支える「金融OS」というべき存在へと進化しつつある。
2025年の年次報告書によれば、主要なAI企業すべてをはじめ、ダウ平均株価構成銘柄の90%、ナスダック100指数の80%、さらに誕生したばかりのスタートアップ企業の相当数(デラウェア州で設立される法人の25%がStripe Atlasを利用して設立)など、500万社を超える企業がStripeを利用するようになっている。
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