• 2026/08/17 07:00 掲載

ブラックロック参戦、日本のRWAはなぜ「買って償還待ち」?SBI・大和も挑む一手

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RWA(Real World Asset:現実世界資産)を巡る競争が、「発行」から次の段階へ移り始めた。世界最大級の運用会社、米ブラックロックはトークン化MMFを拡充し、海外では資産をブロックチェーン上で保有するだけでなく、決済や担保にも使う動きが進む。日本でもSTの発行額は急拡大したが、二次流通はなお発展途上だ。決済、担保、海外流通という3つの基盤から、「眠る資産」を動かす次の主導権争いを読み解く。
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日本のRWAは「眠る資産」で終わるのか?

日本のRWAは「買って償還待ち」のままでいい?

 米ブラックロックは8月3日、ブロックチェーンを活用した2つのトークン化MMF(マネー・マネジメント・ファンド)を新たに投入した。米国債などで運用するファンドにオンチェーン型の持ち分を設けた「BSTBL」と、ステーブルコイン発行体向けの「BRSRV」である。

 同社は、従来型MMFの仕組みとブロックチェーン基盤を組み合わせ、デジタル資産市場で現金に近い役割を担う商品群を拡大している。

 RWA(Real World Asset)トークン化とは、不動産や債券、ファンドなど現実世界の資産や権利をブロックチェーン上で扱える形にすることだ。国内でもセキュリティ・トークン(ST)、いわゆるデジタル証券の市場は拡大してきた。

 BOOSTRYによると、2025年度の国内公募ST発行額は約1,650億円、累計発行額は約3,333億円となり、前年度末から約2倍に拡大した。累計トークン数は82本に達したという。

 国内では2021年に公募型不動産STが登場し、2023年には大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)が二次流通市場「START」を開設した。つまり、市場形成から数年を経て、議論の中心は「発行できるか」から「発行した資産をどう動かすか」へ移り始めている。

 その現在地を考える材料になるのが二次流通だ。STARTの2026年3月の月次レポートによると、月末時点の時価総額は不動産STが235.8億円、債券STが100.0億円の計335.8億円。一方、同月の売買代金は不動産STが5,258万4,230円、債券STが224万8,148円で、計約5,483万円だった。月末時価総額との単純比では約0.16%となる。

 もちろん、STARTは株式市場とは取引方式や商品特性が異なるため、この数字だけで流動性の高低を判断することはできない。それでも、発行市場が急拡大する一方で、二次流通市場はなお発展途上にあることを考える材料の1つにはなる。RWA市場の次の焦点は、商品を作ることだけでなく、それをどう流通させるかに移りつつある。
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海外で進む「売買の先」、RWAを24時間動かす基盤

 海外では、RWAを売買するだけでなく、決済や担保に利用するための実装が進んでいる。米JPモルガン・アセット・マネジメントは5月13日、Ethereum上で利用できるトークン化MMF「JLTXX」を投入した。適格投資家は同社のプラットフォームを通じて購入し、ブロックチェーン上のアドレスでトークン残高を受け取れる。

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海外で進む「売買の先」、RWAを24時間動かす基盤

 さらにJPモルガンのブロックチェーン基盤「Kinexys」は、トークン化MMFについて、24時間365日のプログラマブルなアクセスや、ほぼリアルタイムの決済、オンチェーンでの担保利用を打ち出している。単に「証券をデジタル化した」だけでなく、資産を必要な場所へ素早く移し、別の金融取引にも使える仕組みを目指しているわけだ。

 既存金融市場のインフラを担う事業者も動く。米証券決済大手DTCCは7月15日、DTCで保管する既存証券をトークン化し、実際の本番取引で利用する取り組みを実施した。担保差し入れや証券貸借、DvP(Delivery versus Payment)決済などを検証し、2026年10月に「DTCC Tokenization Service」を開始する予定だ。

 こうして海外では、「流動性」の意味が単純な売買高から広がり始めている。必要なときに資産を移せるか、短時間で決済できるか、別の取引の担保に利用できるか。そうした機能まで含めて、トークン化資産の価値を考える動きである。

 このようにRWAの競争軸は「何円発行したか」だけでは測れなくなりつつあり、資産がブロックチェーン上に存在するだけではなく、それを既存金融と接続し、実際の資金移動に利用できるかという点に次のポイントがある。 【次ページ】流動性を生む「決済・担保・海外流通」3つの基盤
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