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- 2026/02/06 掲載
もうヤバい…証券会社「事務部門の激務解消」に挑む“ホンキの業界改革”、効果ある?
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」
証券業界はどれだけ「事務作業」で負担を抱えてた?
普段はライバルとしてしのぎを削ってきた証券会社同士が、なぜここに来て裏方業務で手を結ぶことになったのか──背景には証券業界が抱える構造的な課題がありました。証券業界では、ミドル・バックオフィス業務に従事する人材の高齢化や、少子高齢化に伴う労働人口の減少を背景に、中小事業者を中心として人材確保は年々難しくなっています。また、これまで各証券会社は、口座開設や相続手続きなどの業務を、それぞれ個別に外部委託することが一般的でしたが、個社対応では委託先の選定から契約・監査までを各社が担う必要があり、事務負担とコストの両面で限界が見え始めています。
とりわけ中小証券会社にとっては、委託先の要件精査や監査対応に十分なリソースを割くことが難しく、業務委託そのものができない、あるいは委託しても十分な効果を得られないケースも目立っていました。
一方、委託先となるプロバイダー側にとっても、証券会社ごとに異なる要件調整や個別対応が必要となり、その負担が結果としてサービス料金に反映されるといった構造的な問題が指摘されていました。
こうした状況を踏まえて設立の運びとなった「証券業務基盤管理株式会社」は、これまで各社が個別に行ってきた委託プロセスを集約し、委託先の選定に向けた提案依頼書(RFP)の作成や要件定義から、委託契約の締結、開発・構築段階での進捗管理、納品物の検収や検査・監査、さらには運用開始後の定期的なモニタリングまでを一貫して共通化する方針です。
証券業務基盤監理株式会社とは、証券会社が個社ごとに対応してきたミドル・バックオフィス業務を集約して支援するため新たに設立される会社形態です。具体的には、外国株式コーポレートアクション、口座開設手続き、相続手続きに関する事務などを、プロバイダーなど外部委託先とのやり取りを含め引き受けると見られています。
株式会社の形態を取りながらも利益の最大化を目的とせず、収支均衡を前提に低コストで運営することで、同社が業界共通のインフラとして機能することを目指す構えです。
委託する証券会社と委託先双方の業務負荷を軽減するだけでなく、対面型の大手・中小証券会社からネット証券まで、チャネルや規模を問わず必要なサービスを選択的に利用できる環境を整える点にもメリットがあると言えます。
ガバナンスは?業界団体が作る「新会社」の運営体制
とはいえ、業界団体(厳密には自主規制機関)が作る株式会社というものが普通の会社とどのように違うのか、イメージが湧きにくいところがあるかもしれません。証券業務基盤管理株式会社は具体的にどのような組織体制になるのか、現時点で分かっていることを簡単に確認しておきましょう。まずは体制面です。証券業務基盤管理株式会社は、取締役6名(うち代表取締役2名)と監査役2名の計8名体制での運営を想定。取締役・監査役は、日証協の会員証券会社から募る発起人の中から選任され、同協会からもガバナンス強化を目的として1名が取締役として参画を予定。実質的に日証協が主導しつつ、特定の企業に権限が集中しない体制を意識した設計を強調している格好です。
全体統括や人事・総務・経理、契約、請求・支払といった実務を担う管理グループ、業務別委員会の運営を担う業務運営グループ、社内検査や委託先監査を行う監査グループという3つのグループで構成されます。加えて、取締役会の決議を経て、委託業務ごとに業務別委員会を設置し、サービス水準や運営方針を議論します。
新会社が提供する「サービスの中身」とは?
日証協幹部は、この新会社について報道陣に対し「中小の証券会社の皆さまのサポートになる」と述べており、主たる狙いが中小証券会社の支援にあるという考えを示しています。一方、「もちろん大手でも相続関係などは非常に手間がかかっている」として、結局のところは大手・中小を問わず各社に共通する非競争領域の業務を集約化する姿勢を見せています。
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