• 2026/08/17 07:00 掲載

ブラックロック参戦、日本のRWAはなぜ「買って償還待ち」?SBI・大和も挑む一手(2/2)

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流動性を生む「決済・担保・海外流通」3つの基盤

 では、日本でRWAをより動かしやすい資産にするには何が必要なのか。国内で相次ぐ実証を整理すると、大きく「決済」「担保」「海外流通」という3つの基盤が浮かび上がる。

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流動性を生む「決済・担保・海外流通」3つの基盤

 第1が決済だ。SBI証券、大和証券、SBI新生銀行、BOOSTRY、ディーカレットDCPは、ODXが将来のPTS取引での利用を見据えてオブザーバー参加する形で、トークン化預金「DCJPY」を利用したSTのDvP決済を実証した。2026年3月には、実際に発行したデジタル社債とDCJPYを使い、大和証券からSBI証券、SBI証券から大和証券への売買について、一連の証券・資金決済オペレーションを確認したという。

 第2が担保化である。ケネディクス、KDX STパートナーズ、Progmat、Datachainは7月31日、STとステーブルコイン(SC)を活用したオンチェーン取引の実証第1段階を完了したと発表した。検証では仮想ファンドを設定し、パブリックブロックチェーン上にSTを、別チェーン上に想定する信託型SCの規格を使ったトークンを発行。クロスチェーンDvPで、発行体と投資家が直接決済するプロセスを確認したという。次のSTEP2では、投資家が保有する不動産STを担保に24時間いつでも貸借するユースケースの検証を検討している。商用化はまだ決まっておらず、STEP2を実施した場合には、その結果も踏まえて2026年内に判断する予定だ。

 第3が海外流通だ。SBI証券、大和証券、SBI Digital Markets、Penguin Securities、BOOSTRYは7月8日、国内で発行・管理するSTを海外証券会社と取引する場面を想定し、Ethereumとステーブルコイン「USDC」を利用する構成についてシステム、法務、業務面を検証したという。実際のクロスボーダー商用取引を始めたわけではないが、将来の海外流通に向けた実務論点を整理した格好だ。

 決済、担保、海外流通。これらがつながれば、STは「買って償還を待つ商品」にとどまらず、保有期間中にも決済や資金調達に活用できる金融資産へ発展する可能性がある。ただし、多くはまだ実証段階であり、制度、業務運用、既存システムとの接続という課題も残る。

誰が「眠る資産」を動かす?金融各社の主導権争い

 では、決済・担保・海外流通が広がったとき、どの金融プレイヤーが主導権を握るのか。

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誰が「眠る資産」を動かす?金融各社の主導権争い

 銀行は預金やデジタル通貨など資金決済との接点、証券会社は本人確認や販売、注文執行、顧客基盤で強みを発揮し得る。取引所やPTSには価格形成と二次流通、運用会社には投資商品の組成という役割がある。さらに、ブロックチェーン基盤やウォレットを提供する企業には、それぞれを技術面で接続する余地がある。

 もっとも、デジタル化すれば自動的に市場の流動性が高まるわけではない。ODXのSTARTでは、投資家は参加する証券会社を通じて注文する必要があり、取扱銘柄も証券会社によって異なる。取引は現状、午前と午後の各セッションで板寄せを行う仕組みで、成立した取引の決済は原則T+2となっている。既存株式市場とも、24時間取引を想定するオンチェーン金融とも異なる市場設計である。

 海外でも課題の中心は「トークンを作ること」から、その資産をどう動かすかに移り始めた。DTCCはトークン化担保について、資産のトークン化は最初の一歩にすぎず、必要な場所へ担保を素早く移動できることが重要だと指摘している。資産が複数のシステムや口座、市場に分断されたままでは、トークン化だけで資本効率が高まるわけではない。

 ここから考えると、日本市場で重要になるのも単独の機能ではなさそうだ。発行基盤だけ、取引市場だけ、決済手段だけではなく、発行、ウォレット、決済、二次流通、担保、海外接続を規制対応とともにつなげられるかが問われる。すべてを1社で抱える必要はないが、銀行、証券会社、取引市場、運用会社、テクノロジー企業を横断して接続できる事業者ほど、存在感を高める可能性がある。

 日本のST市場は、「発行できるか」を試す時代から次の段階に入りつつある。これから問われるのは、発行した資産をどう動かし、どう資金調達に使い、誰と取引できるようにするかだ。RWAを単なる「デジタル化された金融商品」で終わらせるのか、それとも金融インフラの一部へ育てるのか。発行額よりも「発行後」を巡る競争が、本格化しそうだ。

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