衣服の生産量は過去20年間で2倍以上に増加

　消費者は今、かつてないほど手軽に新しい服を手に入れることができる。しかし、ファストファッションの利便性が向上するにつれ、投資家には持続可能性に関わるコストの懸念が増す。

　H&M、Zaraを運営するスペインのインディテックス、中国のSHEIN（シーイン）といったファストファッション企業の急成長によって、短期間で製造される安価な衣服が大衆にもたらされ、世界で生産される衣服の数は過去20年間で2倍以上に増加した。

　しかし、消費者にとっての価格は安いかもしれないが、二酸化炭素排出量の増加やサプライチェーンにおける現代の奴隷制といった懸念から、利害関係者が負担するコストは高くなることも多い。投資家がアパレル企業を評価する際には、こうした環境問題や社会問題を考慮することが重要だ。

　とは言うものの、こうしたリスクがファッション業界に対する長期投資を一律に妨げることにはならないだろう。むしろ、ESG（環境・社会・ガバナンス）のリスクを分析に織り込むことを重視する投資家は、こうした問題が評価に及ぼす影響を、1株当たりに支払う金額に照らして十分考慮すべきだと我々は考えている。

　こうしたリスクについて、さらに深く掘り下げてみよう。