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- 2022/08/23 掲載
最高益ZOZOが狙う「アパレルECの次」、ファッションSNSを地道に続ける“納得の策略”
前編はこちら(この記事は後編です)
念願だったコスメ事業、コロナ禍でも「ZOZOCOSME」が好調のワケ
2022年3月、600ブランド以上の商品を取り扱うZOZOTOWN上のコスメ専門モール「ZOZOCOSME」が1周年を迎えました。コスメ自体はファッションと相性が良いので、10年以上前から検討を重ねていましたが、「アパレル領域で私たちがやるべきことがまだある」と考えて、リソースを集中させるためにコスメ領域は後回しになっていたのです。ただ、新規領域への進出を見据えることになり、懸案と念願だったコスメ事業に踏み出そうと2年前に考え始めました。結果的にコロナ禍ではコスメの購買行動に変化があったことで、盛り上がりを見せています。
また、コスメの色選びを支援するフェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」が活用できるソリューションの展開もあり、サービスの価値向上にも貢献していると思いますね。
さらに、「新たな未来が見える、だけど簡単にできる」という領域が世の中に受け入れられやすくなったと感じています。本当に偶然ではありますが、その辺りがうまくかみ合ったのではないでしょうか。
ファッションSNS「WEAR」で目指すソーシャルコマースの可能性
コロナ禍でも「もう服なんて買わない」というわけではなくて、久しぶりの外出を楽しむ前段階としてコスメやアパレルを楽しむ方もいらっしゃるので、需要が減退することはありませんでした。ただ、業界全体を考えると事業方針の変革が必要な状況だとは思います。たとえば、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」です。コーディネートを投稿したり、着用アイテムなど多彩な条件から検索できるこのアプリは、2022年6月に「PayPayフリマ」と連携してWEAR上のコーディネートの着用アイテムを手軽に出品・購入できる新機能を提供しています。
私たちは元々、ファッションフリマアプリ「ZOZOフリマ」などでCtoC事業も展開していました。われわれの想定には至らなかったため、最終的に撤退しましたが、古着ブームなどもあり何かしらのCtoC事業に取り組みたいと考えていました。その中でも、WEARは大きな可能をもつサービスだと捉えています。
昨今はSNSやブログなどを活用するソーシャルコマースに見られる「人」基軸がすごく重要です。企業が頑張って喧伝するより、もっと身近な人や自身がファンである人がおすすめしてくれることが効果的であるため、WEARはSNSなどのソーシャルメディアで売買できる仕組みにしました。
かつ、工夫点としては「オファー」機能です。単純に商品を紹介するのではなく、身近な人や憧れの人物のコーディネートを見ながら、自分も欲しいと思った瞬間に「WANT」ボタンを押すと商品への購買意欲が示されたり、出品をオファーすることも可能です。新しい考え方として、私たちが注力できる分野だと感じました。
ただ、決済周辺の仕組みを構築するには時間や手間もかかるのですが、同グループ内のZホールディングスのPayPayフリマと連携することで基盤として活用することができました。まだ6月に開始したばかりなので詳細な実績は申し上げられませんが、かなり盛況です。
【次ページ】アパレル特有の課題、WEARを起点に「次に挑戦する」領域
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