- 2026/10/20 06:30 掲載
Web3の二の舞か? 国策「オンチェーン金融」5つの論点、銀行に残る“ある役割”(2/4)
自民党PTの“未来像”、民間は「発行」から「流通」へ
次に、与党である自民党では、2026年3月に、次世代AI・オンチェーン金融構想プロジェクトチーム(PT)を新設した。本PTでは、国内外の民間企業(金融機関、フィンテック事業者など)、および学識者へのヒアリングや議論がなされ、同年5月には提言を取りまとめ、自民党政調審議会で了承されている(注7)。この提言には、骨太の方針に明記された内容以上に具体的な世界観が描かれており、我が国におけるオンチェーン金融の未来像を考えるうえでの1つの材料となる。こういった動きを経て、2026年9月15日には金融行政方針が公表された。この方針には、「オンチェーン金融」の社会実装を促す旨が盛り込まれている。それだけではなく、「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の立上げが明記されており、行政による具体的な動きが見て取れる。
一方で後述する米国では、証券決済・補完インフラを担うDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)がトークン化株式の本番取引の実証を行っている(注16)。これは、日本でいうところのほふり(証券保管振替機構)が対応しているようなものであり、我が国の当局の勢いそのものは歓迎すべきだが、先進国との距離も冷静に理解しておく必要がある。
一方、民間では、先ほど述べたPIPの支援対象となった実証実験に加え、SBIグループの信託型円建てステーブルコインなど、2026年に入ってから複数の動きが見えている。これまではSCやセキュリティ・トークン(ST:ブロックチェーン上で発行・管理される、デジタル化された有価証券)の発行に関する実証実験が中心であったが、いよいよそれらを流通させることを目指す動きが目立つようになってきている。
そもそもオンチェーン金融とは?「24時間365日化」する世界
ここで、改めてオンチェーン金融とは何か。骨太の方針には、「ブロックチェーン上で、トークン化預金、ステーブルコイン等による資金決済が、商流・物流等のデータ管理ともプログラムによって連動・一体化される金融。例えば、製造業における受発注や納品に関するデータ管理、貿易実務における書類管理、金融分野における証券決済等において活用が見込まれる」と補記されている。これは、単純に商流・物流・金流の各要素(書類、受発注・納品データ、資金・有価証券など)をブロックチェーン上に持ち上げるだけでなく、それらを連動させ、なんらかの条件に基づいて一体的に動かすことができるようになる世界観が想定されている。
なお、先ほどの次世代AI・オンチェーン金融構想PTの提言でも同様に、「選択する、買う、支払う、届ける、契約する、融資を受ける等の従来別々に捉えられ、分断された経済的行為が、『連結化』、『自動化』、『24時間365日化』」する世界観が述べられている。 【次ページ】すべてをブロックチェーンに? 提言が引いた“冷静な一線”
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