- 2026/10/20 06:30 掲載
Web3の二の舞か? 国策「オンチェーン金融」5つの論点、銀行に残る“ある役割”
NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、メガバンクのITグランドデザイン策定プロジェクトに参画を機にコンサルタントとしてのキャリアをスタート。金融機関のIT戦略、テクノロジー戦略、テクノロジー起点の事業創造などを主なテーマとしてとりあつかう。情報発信も積極的に実施しており、「Web3と自律分散型社会が描く銀行の未来」(金融財政事情研究会)などの著書や雑誌への寄稿も多数。
NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、NTTデータ経営研究所に出向し、コンサルタントとしてのキャリアをスタート。決済を軸に、事業会社、官公庁、金融機関向けのコンサルティングに従事。
骨太の方針に明記…金融庁の「決済高度化プロジェクト」
この2026年7月、「経済財政運営と改革の基本方針2026 『責任ある積極財政』元年 ~日本の挑戦を起動する!~」(注1)(以降、骨太の方針)が閣議決定された。この方針には、「強い経済」を実現するために、成長を支える資金供給の促進の一環として、「オンチェーン金融の推進を図る」と明記されている。この骨太の方針が閣議決定されるまでには、行政の各所でオンチェーン金融を巡って大きな動きがあった。本稿では、特に金融庁と自民党の動きに着目したい。彼らの動きが、骨太の方針という政府・与党共通の政策コンセプトへ収れんしたと考えることができるためである。
まず、金融庁では、2025年11月にFinTech実証実験ハブ(2017年~。金融庁がFinTech企業などの実証実験を支援する枠組み)内に、決済分野に特化した「決済高度化プロジェクト」(PIP: Payment Innovation Project)が立ち上げられた(注2)。このプロジェクトは、ブロックチェーン技術や関連法令、海外動向など、決済分野に深い知見を持った担当者を支援チームに重点的に配置し、個々の実証実験をサポートする。
実際に、まず2025年11月にステーブルコイン(SC:法定通貨などと価値が連動するよう設計されたデジタル通貨)を複数の銀行グループが共同で発行する場合の規制対応や実務対応の検証に対する支援(注3)が決定した。続く2026年2月には、社債、株式等の振替に関する法律に基づく振替が行われている有価証券について、ブロックチェーン技術を活用した権利者の移転の検証、および権利者の移転に係る取引とSCを用いた決済との連動に対する支援(注4)が決定した。
さらに、2026年6月には、SBIグループが国内初の信託型円建てステーブルコインを発表(注5)したことについて、片山財務大臣(内閣府特命担当大臣を兼務)が「この取組をオンチェーン金融を通じて決済の高度化等におけるイノベーションを牽引する取組として制度面を含めてしっかりとサポートしてまいりたい」と発言しており(注6)、オンチェーン金融を推進していく姿勢が明確に打ち出されている。 【次ページ】自民党PTの“未来像”、民間は「発行」から「流通」へ
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