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  • 2026/06/09 掲載

中国系決済の“脅威”を打ち砕く?「デポジットトークン」が変える未来とは

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前編では、デポジットトークンの基本概念と市場動向、そしてインバウンド決済に潜む構造的課題を整理した。本稿では、その課題に対してデポジットトークンがどのような解決策となり得るのかを検証する。さらに、既存の決済手段との関係性や役割分担、そして将来的なアーキテクチャーの統合可能性まで踏み込み、日本の決済インフラの進化の方向性を展望する。デポジットトークンの登場を起点とした日本の決済の今後のシナリオとは?
監修:NTTデータ 金融イノベーション本部 山本 英生

NTTデータ 金融イノベーション本部 山本 英生

NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、メガバンクのITグランドデザイン策定プロジェクトに参画を機にコンサルタントとしてのキャリアをスタート。金融機関のIT戦略、テクノロジー戦略、テクノロジー起点の事業創造などを主なテーマとしてとりあつかう。情報発信も積極的に実施しており、「Web3と自律分散型社会が描く銀行の未来」(金融財政事情研究会)などの著書や雑誌への寄稿も多数。

  執筆:原 進一郎

原 進一郎

NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、NTTデータ経営研究所に出向し、コンサルタントとしてのキャリアをスタート。決済を軸に、事業会社、官公庁、金融機関向けのコンサルティングに従事。

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デポジットトークンは決済の何を変えるのか?
(画像:Gemini/Nano Banana)

手数料の海外流出を防ぐ? デポジットトークンの“底力”

 前編ではデポジットトークンの基本概念と動向を整理した。本稿では、より実務的な観点からその影響を考える。この問題自体に対して見解を述べることは避け、デポジットトークンがこの問題に対して、どういうアプローチがあり得るかを示していきたい。

 インバウンドQRコード決済をめぐっては、(1)決済手数料の海外流出、(2)取引の把握、(3)ガバナンスといった複数の論点が指摘されている。ここでは、これらの観点ごとにデポジットトークンの可能性を整理する。

(1)決済手数料の海外流出
 インバウンド客は、基本的には日本の銀行の口座を保有していない。そのため、母国の銀行のデポジットトークンを使って日本で支払いをしたいと思うはずである。デポジットトークンはその定義上、従来の決済よりも効率的に決済できることが謳(うた)われている。つまり、決済手数料の根拠となっているコスト構造に影響を与えることができると考えられる。

 インバウンド客に対して、慣れ親しんだ決済アプリの使用を控えてもらうことは当然ながらできないが、デポジットトークンを活用した決済について、加盟店がコード決済事業者と交渉し、手数料率を低減させることで、結果的に決済手数料の海外流出量を抑えるというシナリオはあリ得るのではないか。
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 コスト構造の次に問われるのは、取引の可視性とガバナンスである。

(2)困難な個人間送金(店・個人)の取引把握
 日本で、海外の決済サービスを使った個人間送金にデポジットトークンが活用される場合、実際は仕組み次第かもしれないが、海外の事業者だけでなく、海外の銀行にもその取引履歴が残ることもありうる。

 一般的に事業者よりも銀行の方が各国の当局に監督・規制されているため、十分かはさておき、従来よりも日本の当局が取引を把握できる可能性が高まるのではないか。

(3)運営主体への監督・規制(ガバナンス)に対するハードル
 デポジットトークンの活用有無に寄らず、海外のコード決済事業者は、日本で決済サービスを展開するためには、日本に事業所を持ち、必要なライセンスを取得する必要がある。しかし、取り扱うバリューは、海外の当局により監督・規制された銀行が発行しているものであるため、日本からこの事業者への監督、規制のハードルそのものは変わらないものの、運営主体(コード決済事業者)は、事業者が発行した電子マネーよりも安全なバリューを取り扱う、という変化は生じ得る。

 なお、一般的なステーブルコインを用いた決済の場合、運営主体は一般的には民間事業者(国内外問わず)であるが、デポジットトークン同様、コスト構造に影響を与えることができる可能性がある。一方で、一般的なステーブルコインを用いた決済では、自身の情報に一定の匿名性を与えることができ得るため、個人間送金の把握や、運営主体への各国での監督・規制は相応のハードルが想定される。

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