- 2026/08/12 06:30 掲載
アマゾン・アップル歴任のプロ経営者が語る、国際送金に勝つ“4条件”と“4トレンド”
FINOLABコラム
FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。
アマゾン・アップル出身のプロ経営者が見抜いた“4つの条件”
トップに立つ経営者は、企業をどのように評価してその職を選んだのか。レミットリーの最高経営責任者(CEO)に就任して約6カ月のセバスチャン・ガニンガム(Sebastian Gunningham)氏は、OracleやAmazon、Appleといったテクノロジー企業で要職を歴任し、創業者退任直後のWeWorkでCEOも務めた人物だ。Amazonでは長年にわたり決済事業を統括し、欧州最大クラスの銀行で取締役も経験している。テクノロジーと金融の両方を知り尽くした経営者が、なぜレミットリーを選んだのか。
ガニンガム氏には、企業を評価する際にチェックする「4つの条件」があったという。
第1に、顧客に愛されるプロダクトがあるかどうか。アプリストアの評価や実際の利用体験を確認し、レミットリーはこの条件を満たしていた。
第2に、市場が十分に大きいかどうか。個人間の国際送金だけでも年間約2兆ドルという巨大市場であり、まだ成長の余地がある。
第3に、簡単には参入できない壁があるかどうか。これについてガニンガム氏は、「この会社が持つライセンス、コンプライアンス体制、KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)の仕組みは、チームが10年以上かけて構築したもので、簡単には真似できるものではない」とコメントしている。
そして第4の条件がユニットエコノミクス(顧客1人あたりの採算性)である。規模が拡大するほど利益率が改善する健全な構造になっているという点で、レミットリーは同氏の眼鏡にかなった。
こうした企業評価に関する4つの条件に加えて、ガニンガム氏の背中を押した点がある。それは企業文化だ。
「レミットリーは、国をまたいで移動し、十分なサービスを受けられていない人々を助けようとするミッションに忠実です。最低のコスト、最速の送金、最大の信頼をその人たちに届ける姿勢が明確でした」(ガニンガム氏)
創業者のマット・オッペンハイマー氏との関係も良好で、2026年初めにスムーズなCEO交代が実現した。経営のプロとして長年にわたり「うまくいく会社」と「うまくいかない会社」の両方を見てきた経験が、今回の判断を支えている。 【次ページ】「1ドルを1秒で届ける」5000超の送金ルートの誕生秘話
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