• 2026/11/05 07:00 掲載

三井住友まで「SBI連合入り」の衝撃…ブラックロックも参戦“次世代マネー争奪戦”

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三井住友がSBI関連会社への5%出資に合意したのは10月30日。その3日前、SBIとスターテイルは米ブラックロックとの間で「JPYSC」とトークン化MMFをつなぐ基本合意を発表していた。銀行、資産運用会社、技術企業が手を組む背景には何があるのか。信託銀行の再編、メガバンクの共同実証、外部移転の制限を追うと、決済を制するだけでは足りない金融ビジネスの次の争点が見えてくる。
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SBIはJPYSCを決済手段として普及させるだけではない

三井住友が5%出資、SBI連合は何を狙うのか

 2026年10月30日、SBIホールディングスと三井住友フィナンシャルグループは、ステーブルコイン事業での資本業務提携を発表した。三井住友側は、SBIとスターテイルが設立した「SBI Startale Marketing」の株式5%を取得することで合意した。円建てステーブルコイン「JPYSC」の利用拡大を目指すという。

 さらに、その3日前には別の大型提携も発表されていた。10月27日、SBIとスターテイルが、世界最大級の資産運用会社である米ブラックロックと、トークン化MMFとJPYSCの連携に向けた基本合意を結んだのだ。

 具体的には、技術・インフラ、事業・販売、規制・市場整備の3領域で協力を検討する。SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は「オンチェーン金融への移行はもはや避けられない時代の流れです」と述べている。

 この2つの提携は、それぞれ目的が異なる。三井住友との提携は、JPYSCを使える場面を増やすためのもの。一方、ブラックロックとは、JPYSCとトークン化MMFを連携させる方法を検討する。SBIは決済手段としての普及と、資産運用への活用を並行して進めることで、JPYSCの利用範囲を広げようとしているとみられる。

 JPYSCは円と1対1で価値が連動するよう設計された信託型ステーブルコイン。2026年6月から、暗号資産やステーブルコインの取引サービスを手がけるSBIグループのSBI VCトレードで取り扱いが始まった。ただし、現時点では外部ウォレットへの移転はできず、本格的な決済利用には課題も残る。SBI VCトレードは法令や税務面の整理を進め、外部流通を目指すとしている。

 なぜ大手銀行と世界的運用会社が、まだ利用範囲の限られるステーブルコインに相次いで関わるのか。その背景には、銀行預金だけでは完結しない、新しい資金運用・決済市場を取り込む狙いがある。
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ブラックロックのMMFとJPYSCはどうつながる

 今回の構想を理解するには、まずJPYSCとMMFの違いを押さえる必要がある。

 JPYSCは円建てのデジタル決済手段。一方、MMF(マネー・マーケット・ファンド)は、短期国債などで資金を運用する投資信託だ。MMFをトークン化すれば、投資家の保有する権利をブロックチェーン上で記録・移転できるようになる。

 ブラックロックは2026年8月、トークン化MMFに関する2商品「BSTBL」と「BRSRV」を発表した。BSTBLは承認された投資家のウォレット間で持ち分を移転でき、BRSRVはステーブルコイン発行事業者なども想定した商品だ。ブラックロックは、既存の資産運用とブロックチェーンの融合を進めている。

 ブラックロックの狙いは、承認された投資家間で24時間移転できる仕組みを整え、MMFをデジタル資産取引の担保やステーブルコインの裏付け資産としても活用しやすくすることだ。

 今回の連携で各社が担うとみられる役割も明確だ。ブラックロックは運用商品とノウハウ、SBIは金融サービスや顧客基盤、スターテイルはブロックチェーン技術を提供する。

 今回の連携で狙うのは、資金の運用と決済をスムーズにつなぐことだ。たとえば、企業が余剰資金をMMFで運用し、支払いが必要になれば売却・償還してJPYSCに換え、取引先へ送金する。こうした仕組みが実現すれば、企業は資金を運用に回しながら、必要なときに決済へ振り向けやすくなる。

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企業は資金を運用に回しながら必要なときに決済へ振り向けやすくなる

 ただし、現段階では連携の具体的な仕組みは決まっていない。MMFとJPYSCをどう交換するのか、どの程度の手数料や処理時間がかかるのか。従来の金融サービスより便利で低コストな仕組みを構築できるかが、普及のカギとなるだろう。

 この決済と運用をつなぐ仕組みが実現すれば、金融機関には運用商品の販売、資産管理、決済サービスなど、新たな手数料収入を得る機会が生まれる。 【次ページ】信託銀行の統合が握る「発行・保管・決済」
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