- 2026/11/05 07:00 掲載
三井住友まで「SBI連合入り」の衝撃…ブラックロックも参戦“次世代マネー争奪戦”
三井住友が5%出資、SBI連合は何を狙うのか
さらに、その3日前には別の大型提携も発表されていた。10月27日、SBIとスターテイルが、世界最大級の資産運用会社である米ブラックロックと、トークン化MMFとJPYSCの連携に向けた基本合意を結んだのだ。
具体的には、技術・インフラ、事業・販売、規制・市場整備の3領域で協力を検討する。SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は「オンチェーン金融への移行はもはや避けられない時代の流れです」と述べている。
この2つの提携は、それぞれ目的が異なる。三井住友との提携は、JPYSCを使える場面を増やすためのもの。一方、ブラックロックとは、JPYSCとトークン化MMFを連携させる方法を検討する。SBIは決済手段としての普及と、資産運用への活用を並行して進めることで、JPYSCの利用範囲を広げようとしているとみられる。
JPYSCは円と1対1で価値が連動するよう設計された信託型ステーブルコイン。2026年6月から、暗号資産やステーブルコインの取引サービスを手がけるSBIグループのSBI VCトレードで取り扱いが始まった。ただし、現時点では外部ウォレットへの移転はできず、本格的な決済利用には課題も残る。SBI VCトレードは法令や税務面の整理を進め、外部流通を目指すとしている。
なぜ大手銀行と世界的運用会社が、まだ利用範囲の限られるステーブルコインに相次いで関わるのか。その背景には、銀行預金だけでは完結しない、新しい資金運用・決済市場を取り込む狙いがある。
ブラックロックのMMFとJPYSCはどうつながる
今回の構想を理解するには、まずJPYSCとMMFの違いを押さえる必要がある。JPYSCは円建てのデジタル決済手段。一方、MMF(マネー・マーケット・ファンド)は、短期国債などで資金を運用する投資信託だ。MMFをトークン化すれば、投資家の保有する権利をブロックチェーン上で記録・移転できるようになる。
ブラックロックは2026年8月、トークン化MMFに関する2商品「BSTBL」と「BRSRV」を発表した。BSTBLは承認された投資家のウォレット間で持ち分を移転でき、BRSRVはステーブルコイン発行事業者なども想定した商品だ。ブラックロックは、既存の資産運用とブロックチェーンの融合を進めている。
ブラックロックの狙いは、承認された投資家間で24時間移転できる仕組みを整え、MMFをデジタル資産取引の担保やステーブルコインの裏付け資産としても活用しやすくすることだ。
今回の連携で各社が担うとみられる役割も明確だ。ブラックロックは運用商品とノウハウ、SBIは金融サービスや顧客基盤、スターテイルはブロックチェーン技術を提供する。
今回の連携で狙うのは、資金の運用と決済をスムーズにつなぐことだ。たとえば、企業が余剰資金をMMFで運用し、支払いが必要になれば売却・償還してJPYSCに換え、取引先へ送金する。こうした仕組みが実現すれば、企業は資金を運用に回しながら、必要なときに決済へ振り向けやすくなる。
ただし、現段階では連携の具体的な仕組みは決まっていない。MMFとJPYSCをどう交換するのか、どの程度の手数料や処理時間がかかるのか。従来の金融サービスより便利で低コストな仕組みを構築できるかが、普及のカギとなるだろう。
この決済と運用をつなぐ仕組みが実現すれば、金融機関には運用商品の販売、資産管理、決済サービスなど、新たな手数料収入を得る機会が生まれる。 【次ページ】信託銀行の統合が握る「発行・保管・決済」
ステーブルコインのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR