- 2026/10/23 07:00 掲載
三菱UFJ・三井住友・みずほに激震? ビザvsマスターカード「送金戦争」の衝撃
決済2強が同日発表、「新たな送金争い」の正体
ビザは国際送金サービス「Visa Direct」で、送金会社などが米ドル連動型の「USDC」を使い、送金原資を事前に入金できる機能を商用化した。
2025年からの試験運用を経て、米決済インフラ企業のインヨ・グローバルが初めてこの機能を自社の決済基盤に組み込み、対象顧客への提供を始めた。これにより、送金会社などは銀行の営業時間外でも、海外送金に必要な資金をUSDCでほぼリアルタイムに確保できるという。ただし、利用できる顧客や地域は限られる。送金先の企業がUSDCを持つ必要もない。
一方、マスターカードが始めた「Mastercard Global Money Platform」は、複数通貨の口座管理、ステーブルコインへの交換、カードでの支払い、銀行口座への送金を組み合わせる。銀行やフィンテック企業は、システム同士をつなぐAPIを使い、自社サービスに必要な機能を組み込める。
同サービスは、マスターカードが買収した英国発のステーブルコイン決済基盤企業BVNKを通じて提供を開始したが、一部機能や対応地域は今後拡大する計画だ。
三菱UFJ・三井住友・みずほも参戦、銀行送金はどう変わる?
銀行にとって最も身近な変化は、国際送金の競争が激しくなることだ。従来の海外送金では、複数の銀行を経由し、送金先で使う通貨をあらかじめ用意することもある。時間がかかり、銀行間の手数料も積み重なる。米連邦準備制度理事会(FRB)の職員が3月に公表した分析も、海外送金で経由する銀行が増えるほど、時間と費用がかさむと指摘している。決済大手が送金の手間を減らせば、銀行は従来の手数料や為替関連サービスで価格競争を迫られかねないだろう。
しかし、日本のメガバンク3行は米2社の発表前から動いている。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は6月10日、共同発行を検討するステーブルコインを使い、2026年度中に実際の取引を始めることを目指すと発表。制度設計などを話し合う協議会の設置にも基本合意した。
さらに7月17~23日には、三菱UFJ信託銀行やTISIと連携して実証を実施。10月16日に公表した結果によれば、三菱商事の国内外拠点間の決済を想定し、円建てステーブルコインの発行、移転、償還までを検証した。共同発行の仕組みが実現可能であることを確認したが、まだ商用運用の開始を意味するものではない。
銀行預金にも影響は及ぶ。国際決済銀行(BIS)が10月13日に公表した論文では、預金金利が高いほどステーブルコインの成長が鈍る傾向が示されている。ただし、ステーブルコインの普及が銀行預金全体の減少を招くと証明しているわけでははない。
銀行が問われるのは、送金を他社に任せるかどうかだけでなく、企業との取引をどこまで維持できるかだ。 【次ページ】最大18億ドル買収のマスターカード、提携で攻めるビザ
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