- 2026/06/16 掲載
三井住友・三菱UFJも動いた?「ESGフィンテック」淘汰と覇権争いが始まった
YKBridgeを設立し、海外テクノロジー企業の日本市場参入や、日本企業のグローバル戦略、オープンイノベーション、サステナビリティ金融領域を支援。フィンテック協会では常務理事を経て、現在はグローバルアドバイザーを務める。
M&Aと淘汰が示す、サステナビリティ金融の成熟
2026年のUK FinTech Weekの公式アジェンダを眺めていて、1つの違和感があった。数年前までフィンテック業界の一大テーマだったESGやサステナビリティが、今年は明らかに前面に出ていない。目立つのは、AI、ステーブルコイン、オープンバンキング/オープンファイナンス、スマートデータ、金融犯罪対策、オペレーショナル・レジリエンスといったテーマである。ESGは、かつてのように会場全体を覆うキーワードではなくなっていた。
では、ESG・サステナビリティ金融は終わったのだろうか。
一見すると、そう見える材料は多い。2025年、グローバルのサステナブルファンドは年間840億ドルの純流出となった。米国ではトランプ政権2期目の下で反ESG政治が強まり、証券取引委員会(SEC)は気候関連開示ルールの訴訟防衛を終了。
大手金融機関も資産運用会社による脱炭素連合「NZAM」、銀行間の脱炭素連合「NZBA」などの国際ネットゼロ連合から距離を取り始めた。背景には政治的圧力に加え、反トラスト法リスクへの警戒もある。
つまり、ESGが語られにくくなったのは、単に流行が変わったからではない。金融機関にとってESGは、掲げるほど政治・法務・レピュテーションリスクを伴う言葉になったのである。
しかし、これをもって「ESGは終わった」と結論づけるのは早い。共同アライアンスやESGという看板は弱まっても、気候リスク管理や企業開示、排出量データ、移行金融、サプライチェーン支援の実務は残る。むしろ足元で起きているのは、ESGフィンテック市場がブーム期を抜け、M&Aと淘汰を伴う成熟フェーズに入り始めたという変化ではないか。
終わったのは、ESGという言葉を掲げるだけで資金も注目も集まる時代である。サステナビリティ金融そのものは、金融機関と企業の業務インフラの中に、より深く組み込まれ始めている。
【次ページ】「乱立」から「統合」へ…ESGフィンテック覇権争い
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