- 2026/03/12 掲載
MUFG・SMBCが注目する“インド開発拠点”、金融ITの勢力地図はどう変わるのか?
FINOLABコラム
FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。
インドで「フィンテックイベント」が開かれたワケ
インド東部のオディシャ(Odisha)州の州都ブバネシュワル(Bhubaneswar)でブラックスワンサミットインド(Black Swan Summit India:BSSI)2026が2月5日から2日間開催された。同州政府とシンガポールフィンテックフェスティバルの主催者であるGFTN(Global Financial Technology Network)の共催による同イベントは、同地における初めてのフィンテックイベントとのことであった。
市内の目抜き通りがポスターで埋め尽くされ、ムルム大統領が登場するなど、24カ国から1500人超の参加による盛大なものとなった。本イベントにおいては、AIやブロックチェーンといった世界中で話題となっているテーマに加えて、インドにおけるグローバルケイパビリティセンター(Global Capability Center:GCC)が、近年大きな変化を遂げている状況が議論の中心となった。
インドはオフショア開発から「金融イノベーション拠点」へ
インドは長年、日本企業にとって「オフショア開発の代名詞」とも言える存在であった。1990年代後半から2000年代にかけて、IT人材の豊富さと英語力、コスト競争力を背景に、システム開発や保守・運用を中心とした業務がインドへと移管されてきた。金融機関においても、基幹系システムの一部開発、テスト工程、バックオフィス業務などが委託対象となり、インドは「効率化のための外部拠点」として位置づけられてきた。日本のメガバンクもインドのオフショア開発の利用に始まり、各行が独自拠点を設置してIT人材を確保してきた。しかし、近年この構図は大きく変わりつつある。現在インドで急速に拡大しているのは、単なるオフショア開発ではなく、「グローバルケイパビリティセンター(Global Capability Center:GCC)」と呼ばれる自社のグローバル拠点である。GCCはアウトソーシングとは異なり、企業が自ら設立・統制する組織として、研究開発、AI開発、データ分析、さらにはグローバル戦略機能までを担う。インドは今や世界最大のGCC集積地となり、その数は1,700を超えるとも言われている。
この変化は、金融業界において特に顕著である。銀行や保険、証券、決済事業者は、デジタル化・高度化する規制対応、AMLや不正検知、AI活用によるリスク管理といった課題に直面している。
こうした領域では、単なるコスト削減型の外注ではなく、業務理解と技術力を併せ持つ内製型拠点が不可欠となる。その受け皿として、インドのGCCが再評価されている。
インドは政府レベルにおいても、AI普及によって、これまで単純なコーディングや1次レベルのカスタマーサポートなどを担ってきた、低コストの開発者やサポート要員に対するニーズが減少していくことを見越して、AIの専門家などよりレベルの高い人材教育にシフトしようとしている。 【次ページ】「金融・FinTech」領域におけるインドの注目拠点とは?
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