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- 2024/09/24 掲載
タワマンが今後「普通のマンション」に負けるワケ、住民を待つ「自業自得」の未来とは
タワマンをめぐる世間の「ある変化」
近頃、タワマンに関して、否定的な論調の記事を多く見かけるようになった。今日、タワマンが内包するにさまざまな問題が社会的にも注目され始めていると言えるのではないだろうか。タワマンにおける問題点を理解するためには、まずタワマンの構造的な特徴を正確に把握することが必要だ。
タワマンは通常のマンションの階数が高くなった形態である、と認識している方も多いだろう。しかし実は、そこにはある誤解がある。
タワマンとは一般に20階以上の集合住宅を指す。19階までの鉄筋コンクリート造の集合住宅なら通常のマンションで、20階以上ならタワマンと分類されている。これは法令などの根拠があるわけではなく、慣例のようなものだ。
日本で「マンション」と呼ばれる集合住宅の建築上の構造は通常、鉄筋コンクリート造(以下、RC)である。タワマンも基本的にはRCである。ただし、15階程度の通常タイプのマンションとタワマンとは、同じRC構造と呼ぶにはふさわしくないほどの違いがある。
普通のマンションとの「3つの違い」とは
その相違点とは「外壁」と「戸境壁」、そして「床構造」だ。タワマンは狭い敷地に多くの住戸を設けることができる。その代わりに天空に向かう超高層となる。建物が上に伸びれば、当然上層階の荷重が重くなる。それを下層階が構造的に支えなければならない。
2001年に米国で起きた「9.11」事件でニューヨークのワールドトレードセンターという超高層のツインビルが相次いで崩落した情景を覚えておられるだろうか。
9.11では、110階建てのビルの中層あたりに旅客機が突っ込んだ。その後、崩れた上層階の荷重に耐えられなくなって、ビル全体が崩落してしまった。瓦礫に押しつぶされて亡くなった方は合わせて約3000人という、悲惨なテロ事件である。
あの情景でも分かるとおり、超高層の建築物はそれ自体の荷重が尋常ではないのである。
さらに言えば、日本は世界一と言っていいほどの地震大国である。先月も、南海トラフ地震の想定震源域において巨大地震が発生する可能性が高まったとして「南海トラフ地震臨時情報」が発表され話題を呼んだが、いつ何時、震度7程度の地震に見舞われるかもしれないのが日本なのだ。
そのため、この国ではタワマンのような超高層建築にはかなりの「強度」が求められると言える。RCの場合、強度の基本は構造の丈夫さだ。一般的に鉄筋コンクリートを厚くすれば、強度は増す。 【次ページ】普通のマンションにはない「決定的すぎる」弱点
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