- 2026/02/16 掲載
日本のメガバンには無理か……欧銀サンタンデールが9週間で2兆円の超大型買収のワケ
122億ドル買収の全体像と市場の反応
サンタンデールは2026年2月3日、米ウェブスターの買収を正式に発表した。取引総額は約123億ドルで、ウェブスター株主は1株当たり48.75ドルの現金に加え、サンタンデールの米預託証券2.0548株を受け取る。発表時点の評価では、1株75ドル相当となり、プレミアムは約14%だった。
ウェブスターは総資産約840億ドルを持ち、米北東部を中心に預金基盤と商業銀行の顧客網を築いてきた。統合後のサンタンデールは米国で資産規模10位級、北東部では預金で5位級の銀行となる。
サンタンデールは統合後の米国事業について、資産約3,270億ドル、貸出約1,850億ドル、預金約1,720億ドルになると説明した。いずれも2025年末時点の合算だ。
2028年には米事業の資本収益性を18%に引き上げる計画で、コストシナジーは年間8億ドルを見込む。これらを前提に、実質的な株価収益率は6.8倍程度になると主張している。
もっとも、市場の反応は冷ややかだった。発表直後、サンタンデール株は下落し、投資家の間ではシナジー前提の強さや、米国向けの資本配分が増える点を懸念する声も出た。
同社は同日に50億ユーロの自社株買いも公表し、成長投資と株主還元を同時に進める姿勢を示したが、その評価は今後の統合の進捗に委ねられている。
欧州勢が米国に賭ける「構造的」理由
欧州の銀行が米国に軸足を移す背景には、成長余地と収益性の差がある。フィナンシャル・タイムズは、今回の取引を欧州大陸の銀行による米国銀行買収として最大級と位置づけ、サンタンデールが米国と英国で存在感を高めてきた流れの延長線上にあると伝えた。
買収の起点は2023年に開かれたJPモルガン・チェースの会議とされ、案件はプロジェクト名を付けて検討され、9週間で合意に至った。経営トップが成長投資を最優先課題に置いていたことが、スピードにつながったとみられる。
米国市場が依然として魅力的である理由は明確だ。預金と融資の市場規模が大きく、地域銀行であっても買収によって一気に規模を拡大できる。
サンタンデールが統合後に米国でトップ10級を掲げるのは、規模が競争力に直結するとの判断がある。金利環境の変化も収益機会になりやすく、預貸のスプレッドが経営に直接影響する。加えて、デジタル投資を軸に店舗網や事務の統合を進めやすく、コスト削減につなげやすい。
このような環境では、M&Aは例外的な賭けではなく、時間を買う手段になる。サンタンデールが買収と同時に自社株買いを発表したのも、成長と資本効率の両立を示す狙いがあった。
こうした説明ができるかどうかが、欧州勢のM&Aの成否を分ける。国境を越えた再編を重ねてきた欧州と、国内の安定収益を軸に海外投資を積み上げてきた日本の銀行との差は、ここで浮き彫りになる。 【次ページ】日本の大手行が大型M&Aに踏み切れない壁
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