- 2026/03/12 掲載
MUFG・SMBCが注目する“インド開発拠点”、金融ITの勢力地図はどう変わるのか?(2/3)
FINOLABコラム
「金融・FinTech」領域におけるインドの注目拠点とは?
このGCC進化と高度人材の教育推進の象徴的な事例が、今回イベントの開催地となったオディシャ州である。従来、インドのIT・GCC拠点はベンガルール、ハイデラバード、プネといった大都市に集中していた。しかし人材獲得競争の激化やコスト上昇を背景に、近年はTier2都市への分散が進んでいる。オディシャ州の州都ブバネシュワルはその代表例であり、州政府はGCC誘致を成長戦略の柱に据え、明確な政策を打ち出している。オディシャ州が掲げるGCC戦略の特徴は、「金融・フィンテック」を明確なターゲットにしている点にある。同州は単なるIT開発拠点ではなく、デジタル公共インフラ(DPI)と連動した金融技術拠点の形成を目指している。
インドでは、UPI(即時決済)、Aadhaar(デジタルID)、ONDC(デジタル商取引基盤)といったDPIが社会インフラとして定着しており、金融サービスの実証・開発環境として極めてユニークな条件が整っている。オディシャ州はこれらを活用し、FinTech、RegTech、データ活用型金融サービスの集積を図ろうとしている。そのために、大学におけるIT人材教育においてもAIなどの先進分野を強化するようになっている。
金融機関の視点から見れば、これは極めて重要な変化である。従来のインドオフショアは、日本本社で設計された仕様を実装する「下流工程」が中心であった。しかしGCC型モデルでは、要件定義や業務設計、アルゴリズム開発といった上流工程が現地で行われる。特にAIを活用した与信モデル、不正検知、AML分析などは、金融ビジネスの競争力そのものに直結する領域であり、これをどこで誰が開発するかは戦略課題となる。
オディシャ州の取り組みは、インドにおけるGCCが「量的拡大」の段階を超え、「機能高度化・地域分散」のフェーズに入ったことを示している。GCCはもはやIT部門やオペレーションセンターの延長ではなく、金融グループ全体のデジタル中枢、あるいは第二の本社機能として位置づけられ始めている。
実際、インドのGCCではAIエンジニアやデータサイエンティストのみならず、プロダクトマネージャーやリスク管理人材の採用も進んでおり、グローバル人材育成の拠点としての性格を強めている。 【次ページ】MUFG・SMBCの施策とは?
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