- 2026/07/30 07:00 掲載
調整色強まる半導体株、「AIバブル崩壊」は本当か?台湾・韓国データが示す相場の真実(2/2)
【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
暴落のサイン? 「AIバブル測定器」として機能する“ある指標”
ここで台湾の輸出受注が世界の代表的な半導体銘柄で構成されるSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)と連動性を有することを確認しておきたい。SOX指数を巡っては、6月中下旬に年初来リターンが「2倍」を記録したことで、短期的な過熱感が指摘されていたことから、足元の調整が「AIバブル崩壊」などと一部で警戒されている。もっとも、台湾の輸出受注との関係で見れば、これまでの株価上昇に違和感はない。反対に、先々、輸出受注が鈍化しているにもかかわらず、株価だけが勢いよく上昇する局面を迎えた場合には警戒が必要となる。その意味で、台湾の輸出受注は「AIバブル測定器」として有用であると筆者は考える。
熱狂する韓国株は本当にバブル? データが示す現在地
次に注目するのは、メモリ半導体の生産集積地である韓国の経済指標である。同国における半導体の生産動向を捕捉できる指標としては、生産数量を把握できる鉱工業生産統計に加え、輸出金額を把握できる貿易統計がある。景気の強さを読む上では前者が有用であるが、株価とその裏付けとなる企業収益を読む上では後者が重要であろう。6月の貿易統計によるとドル建て輸出金額は前年比+70.9%と著しい増加を記録した。もちろん、増加をけん引したのは半導体であり、その伸び率は同+199.5%とすさまじかった。5月時点では、輸出物価は全体が前年比+46.9%、半導体は同+181.3%と急速に切り上がっており、価格と数量の両面で活況がうかがえた。
韓国株価指数(KOSPI)を巡っては、個人投資家の熱狂により過熱感を帯びているとの指摘が多い。実際、レバレッジ型ETF(上場投資信託)の存在感が増すなか、ボラティリティが高まっている。
もっとも、輸出金額と株価には以前から一定の連動性があり、それは現在も大きく崩れていない。この尺で見る限り、現在の株価は、輸出増加という裏付けを伴っており、バブルであるとの指摘は必ずしも当てはまらない。
見落とせない…日経平均のAI銘柄を左右する「意外な指標」
最後に日本の経済指標として、筆者は機械受注統計における「電子計算機等」という系列に注目している。ここには半導体製造装置、サーバ、データセンターの受注動向が集計されているため、まさに日経平均株価に含まれるAI関連銘柄の業績が反映される。そこで日経平均株価と「電子計算機等」を同じグラフに描いてみると、やはり一定の連動性が確認できる。こうして考えると、株式市場の参加者は、案外、遠い将来への期待よりも、受注額など足元の実績データを見ながら取引している可能性がある。今後、これら半導体関連指標が鈍化する一方で、株価だけが上昇を続ける局面が到来した場合は、AIバブル崩壊への警戒感を強めるべきであろう。
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