- 2026/08/27 06:30 掲載
PEファンドとコンサルは何が違う?年5%成長でもリターンが2倍を超える「3つの源泉」
新連載:PEファンドのリアル
クレアシオン・キャピタル 投資チーム マネジャー。アクセンチュアにおいて、ビジネスプロセス改善等のコンサルティングに従事。その後、フロスト&サリバンでの戦略コンサルティング業務、外資系スタートアップ企業での日本法人立ち上げおよび代表取締役社長経験を経て、クレアシオン・キャピタルに参画。投資チームにて未上場企業への投資および投資後の経営支援に携わる。慶應義塾大学経済学部卒業。
「物言う株主」との違いは?PEファンドをめぐる大きな誤解
派手な買収劇、物言う株主(アクティビスト)、巨額の報酬──PEファンドと聞いて思い浮かぶのは、おおむねこのあたりだろう。ドラマや映画の題材になるのもこの領域だ。このイメージには由来がある。2000年代初頭、不良債権処理の時代に、経営難に陥った企業を外資ファンドが買収する事例が相次いだ。この世界を描いた当時の小説やドラマは、いまなお語り草になるほど面白く、筆者も夢中になった一人である。
ただ、物語の舞台となった再生型の投資と、現在の日本のPE投資では、対象も手法もだいぶ様子が異なる。物語の記憶をそのまま現在に当てはめると、実態からはずれてしまうのだ。
なお、上場企業の株式を一部取得して経営陣に物申すアクティビストと、未上場会社の株式の過半を取得するPEファンドは別の存在である。現在の日本の企業買収の多くは、後継者不在の事業承継や、大企業による事業の切り出し(カーブアウト)を背景とした、合意にもとづく取引である。
経営者の高齢化と後継者不在が構造的な課題であることは、中小企業庁「中小企業白書」でも繰り返し指摘されてきた。ファンドはその受け皿の1つであり、オーナー経営者から「会社と従業員を託せる相手か」を数カ月かけて見極められ、選ばれて初めて投資が成立する。
争奪戦どころか、審査されるのはむしろPEファンドの側であることが大半なのである。
コンサルティングファームとPEファンドはどこが違うのか
PEファンドとよく比較されるのが、コンサルティングファームや投資銀行などのアドバイザリー業である。人材の行き来も多く、「激務だが高収入」というイメージも共通している。筆者自身もコンサルティングファーム出身だ。ただ、ビジネスの形は根本から異なる。アドバイザリー業は、助言や実行支援という役務を提供し、その対価として報酬を受け取る。極端に言えば、助言の結果がどうであれ、工数分の報酬は確実に支払われる。
一方、PEファンドは、投資家から預かった資金で会社を買い、数年かけて価値を高め、次の買い手への譲渡や上場を実現する。利益の源泉は、入口と出口の差分であり、工数をいくらかけてもリターンが出なければ成果報酬が払われることはない。アドバイザリー業はアドバイスそのものを売る仕事、PEファンドはリスクを取って入口と出口の差分で価値を創出する仕事、と理解するとよい。
PEファンド=高収入というイメージを支える成功報酬(キャリー)にも、この構造が反映される。約10年のファンド運営を通じて投資と回収を終え、資金の出し手である投資家が約束の水準まで先に回収し、それを上回った分から、ようやく運用者側(PEファンド)に分配されるのだ。成果が出なければ、PEファンドへ支払われる成果報酬はゼロである。
少なくとも筆者の見聞の範囲では、PEファンドとアドバイザリーファームを比較した際、固定給部分では劇的な差があるわけではないように思う。
先ほど「PEファンドはリスクを取って入口と出口の差分で価値を創出する」と述べたが、具体的にどういう方法があるのか、次に詳しく解説する。 【次ページ】「安く買って高く売る」だけでない…利益の源泉を3つに分解
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