- 2026/09/08 06:30 掲載
メガバン過去最高益でも地銀は「PBR1倍割れ…」、生き残りを分ける“2つの条件”
金融リサーチセンター上席主任研究員。京都大学理学部卒、三井住友銀行入行。日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター、日興リサーチセンター理事長室、三井住友銀行リスク統括部等を経て、現職。注力テーマは、金融機関経営、地域金融、金融政策。
銀行のPBRは0.3倍台から一変…「金利のある世界」の恩恵
日本銀行(日銀)による段階的な利上げによって、我が国では「金利のある世界」が到来している。こうした中、銀行セクターでは、金利上昇によって預貸ビジネスの収益性(預貸利ざや)が大きく改善しており、2025年度決算を見ても、過去最高益となる銀行も多く見られた(詳細は前回の記事で解説)。こうした中、資本市場における銀行の評価も変化している。「金利のある世界」が到来する以前は、低金利環境が長期化する中、銀行セクターは収益性・成長性が低いとみなされ、銀行セクターのPBRは0.3倍台まで低迷していた時期もあった(図表1)。しかし、足元では、銀行セクターの株価が大きく上昇し、PBRも1倍を超えるまで改善している。
好決算の裏で…規模が小さい地銀ほど「置き去り」になる理由
もっとも、すべての銀行が「金利のある世界」の恩恵を享受できているわけではない。金利上昇による預貸ビジネスの収益改善を受けて、多くの銀行が貸出を積極化し、預金獲得競争も活発化するなど、預貸ビジネスの競争環境はむしろ厳しさを増している。その結果、銀行によって、収益改善幅などに格差が広がりつつある。多くの銀行が好決算となった2025年度を見ても、規模が小さな地銀などでは収益改善の遅れが目立ち、大手行では見られない“減益(資金運用利益やコア業務純益が減少)”となる銀行や、貸出・預金残高が伸び悩んだ銀行もあった。銀行の時価総額別のPBRを見ると、全体として改善しているものの、小規模な地銀ほど改善幅が小幅となっており、PBRの水準も1倍を下回るなど、資本市場における評価は必ずしも高くない(図表2)。
地銀を取り巻くビジネス環境を見れば、人口減少ペースが加速する地域を地盤としていることも多く、中長期的なビジネスの持続性や成長性に懸念を持たれやすい。
また、足元では、「金利のある世界」の到来を受けて、ネットバンクやメガバンクが攻勢を強めているほか、Fintech企業など異業種の金融ビジネスへの参入も増加しており、地銀は地域・業態・業種を超えた競争に直面している。資本市場における評価を高めるためには、厳しさが増すビジネス環境の中で、いかにビジネスを成長させていくかを示していく必要がある。 【次ページ】株主構成が激変…地銀の8割が上場する“プライム市場”の要求
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