- 2026/09/07 06:30 掲載
ファナック・川崎重工が強くても足りない…米中とのフィジカルAI覇権争い「勝つ条件」
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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フィジカルAIに政府が本命視
2026年7月に閣議決定された第2期AI基本計画は、日本が今後重点的に取り組むAIの分野として、「バーティカルAI」と「フィジカルAI」を掲げている。フィジカルAIとは、AIがコンピューターの画面の中だけで情報を処理するのではなく、ロボット、自動車、工作機械、ドローンなどの物理的な身体を通じて現実世界を認識し、判断し、実際に行動する技術だ。
カメラやセンサーから得た情報をAIが分析し、その結果に基づいて、ロボットの腕を動かしたり、歩いたり、物をつかんだりする。つまり、生成AIの能力とロボット技術を結び付けたものだ。
なお、ヒト型ロボットは「フィジカルAI」の代表的な応用分野の1つである。フィジカルAIは「現実世界を認識し、判断し、身体を動かして働くAI」という、より広い概念であり、ヒト型ロボット以外にも自動運転車、産業用ロボット、ドローンなどが含まれる。
日本はヒト型ロボットで世界の先駆者だった
日本はかつて、この分野で世界のトップを走っていた。たとえば、1973年には早稲田大学が世界初の本格的なヒューマノイドロボット「WABOT-1」を完成させた。二足歩行が可能で、物をつかみ、簡単な日本語によるコミュニケーションもできた。ホンダは1986年に二足歩行ロボットの研究を始め、1996年にP2、2000年にASIMOを発表した。
P2は、動力源や制御装置を本体に搭載した自律型のヒト型ロボットとして、後のヒト型ロボット開発に大きな影響を与えた。
ASIMOは、人間の生活空間で活動できる二足歩行ロボットとして世界的に注目された。
ASIMOには、姿勢を保つバランス制御、周囲を認識するセンサー技術、次の行動を判断する自律制御が組み込まれていた。現在のヒト型ロボットにつながる基本的な考え方を、日本はかなり早い段階で実現していたのである。
しかし、現在のヒト型ロボット競争では、日本は出遅れた。ASIMOは優れた研究成果だったが、工場や家庭に大量販売される製品にはならなかった。 【次ページ】産業用ロボットでは日本は今も世界級
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