- 2026/10/16 06:30 掲載
【海外勢と比較】三井住友・三菱UFJ・みずほ…AIで「仕事・人事・評価」どう変わる?(3/3)
みずほ、三井住友、三菱UFJ…日本の銀行AIの“勝ち筋”は
みずほフィナンシャルグループは、2026年度から3年間で1,000億円規模のAI関連投資を掲げる。「内製開発ラボ」と共通基盤「みずほWiz Base」、開発・評価・統制を標準化する「エージェントファクトリー」を組み合わせ、法人営業の提案準備を支援するAIも開発している。個別ツールを増やすのではなく、構想から実装・運用までをつなぐ取り組みだ。三井住友フィナンシャルグループの独自ツール「SMBC-GAI」は、約130万件の社内文書ファイルを横断検索できる。2026年の統合報告書によれば全社員の約90%が利用している。回答には参照元を表示し、元の資料画像も確認できる設計を採る。全社利用と、人間が根拠を確かめる仕組みを両立させている。
三菱UFJ銀行は約3万5,000人の全行員を対象にChatGPT Enterpriseを展開し、利用開始の条件に研修の修了を置く。グループでは「Hello, AI@MUFG」を通じて、AIへの理解から業務に応じた活用までを広げている。外部のモデルを使いながら、使い方や運用ルールを自社で設計する例だ。
地域金融機関にも、業務の分断を解消する動きがある。北國銀行は自社開発の「IBPlatform」で、既存の顧客管理に融資稟議・実行機能を加え、2026年2月に稼働を開始した。これは融資判断をAIに任せたという話ではない。顧客情報と業務の流れをつなぎ、AIやデータ活用を組み込む土台を自ら整える取り組みである。
こうした動きは、海外事例と同じ経営課題に向き合っている。共通基盤を整え、根拠を確認できるようにし、使い手と作り手を育てる。その先で問われるのは、部門をまたぐ仕事の流れまで変えられるかだ。
たとえば融資なら、受付から顧客回答までを見渡す責任者の下で、営業、事務、システム、人事、リスク管理が、作業分担と承認権限、人材配置を決める。独立したリスク検証は維持しつつ、事務子会社や外部委託先との受け渡しも含めて設計する。
AIで稟議書の作成が速くなっても、その後の確認待ちが変わらなければ、顧客への回答は速くならない。評価すべきは資料作成時間だけでなく、顧客回答までの総時間、差し戻し率、審査品質である。確認部門に負担を移しただけではないか、教育・運用費用を含めても効果があるかも測り、人員配置と評価制度に反映させる。
社員には、次に何を担い、何を学べば評価されるのかを示す。それがFOBOに対する経営側の具体的な回答になる。
日本の金融機関に足りないのは、必ずしもAIツールや導入事例ではない。すでに始まっているAI活用を、業務、権限、人材配置、評価制度まで貫徹できるかが次の競争になる。
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