• 2026/11/05 07:00 掲載

三井住友まで「SBI連合入り」の衝撃…ブラックロックも参戦“次世代マネー争奪戦”(2/2)

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信託銀行の統合が握る「発行・保管・決済」

 SBIは商品や提携先を増やすだけでなく、金融インフラそのものの再編にも動いている。

 10月29日、SBI新生信託銀行がSBIクリアリング信託を吸収合併すると発表した。合併予定日は12月31日で、必要な当局認可の取得が前提となる。SBIは、ステーブルコインの発行やデジタル資産の保管・管理などを担う体制を強化する方針だ。

 なぜ信託銀行の統合が重要なのか。それはブロックチェーン上で金融商品を取引するには、資産の発行だけでなく、顧客資産の保全、保有者の権利管理、代金決済といった機能が必要になるからだ。こうした仕組みを支えるのが信託やカストディ(資産の保管・管理)である。

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信託やカストディがブロックチェーン上の取引を支える

 SBIは、この領域で収益を得るための基盤を整えようとしている。

 その動きを示すのが、JPYSCの裏付け資産の運用だ。SBIグループは9月7日、発行残高約201億円に対し、10億円を短期国債で運用していることを公表した。

 2026年6月施行の改正資金決済法および関係法令により、一定の条件下で裏付け資産の一部を短期国債や定期預金で運用できるようになった。つまり、ステーブルコインの普及は、決済手数料だけでなく、裏付け資産の管理や運用にも事業機会を生む可能性がある。

銀行は預金だけでなく「取引の入口」を競う

 一方、三井住友銀行はSBIとの協業だけを進めているわけではない。

 同行は三菱UFJ銀行、みずほ銀行などとも、円建てステーブルコインの共同発行に向けた実証に参加している。10月16日の発表によると、7月17~23日に三菱商事の国内外拠点間決済を想定した実証を行い、発行・移転・償還の手続きを確認した。

 SBIも国内だけにとどまらない。

 10月28日には、米クロスリバー・バンクの親会社CRBグループと、合弁会社の設立を目指す基本合意を発表した。米国の銀行基盤を活用したJPYSCの導入や、トークン化資産の決済利用などを検討するという。

 三井住友が競合メガバンクとの実証とSBIとの提携を並行させる姿勢は象徴的だ。どの決済基盤が主流になるか見通せない中、銀行は特定の仕組みに賭けるよりも、複数の資金移動ルートに関わる道を選び始めているとみられる。

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銀行は複数の決済ルートに関わる

 もっとも、提携を増やすだけでは利益は生まれない。JPYSCが外部へ移転でき、企業決済やMMFの購入・償還に実際に使われて初めて、販売、保管、決済に新たな手数料収入の余地が生まれる。

 収益化できるかどうかは、取引量だけでなく、手数料水準やシステム運用コスト、規制対応の負担などにも左右される。今回の連携がどこまで利益を生むかは、まだ未知数だ。

 銀行にとって本当の脅威は、預金が消えることよりも、顧客が金融サービスを利用する「入口」を他社に握られることだろう。SBI、三井住友、ブラックロックを巡る一連の動きは、銀行が金融取引の主導権を維持できるかを問う、新たな競争の始まりといえそうだ。

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