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  • 2026/10/29 06:30 掲載

障がい者を守るはずが、逆に仕事が減る?「障がい者雇用ビジネス」新規制の落とし穴

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企業が法定雇用率を達成するため、障がい者の就業場所や仕事を企業に代わって用意する「障がい者雇用ビジネス」。これまで届出も許可も不要だったこの市場に、厚生労働省が規制強化の方針を打ち出した。業界団体も自主ガイドラインで動き出す中、事業者の“淘汰”は避けられないのか。そして、障がい者を雇う企業や働く障がい者には何が起きるのか。規制強化の中身と、その先に待つ“ある代償”を解説する。
執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島 康恵

シニアジョブ 代表取締役 中島 康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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ついにテコ入れが入る障がい者雇用ビジネス。規制の内容とその影響は?

動き出した厚労省…障がい者雇用ビジネスに“規制のメス”

 障がい者雇用ビジネスに規制強化の波が訪れそうだ。

 障がい者雇用ビジネスとは、企業が障がい者の法定雇用率(従業員に占める障がい者の割合として、法律で企業に義務付けられた水準)を達成する支援のため、農園やサテライトオフィスといった就業場所や業務を、企業に代わって提供するビジネスである。

 就業場所の提供だけでなく、採用そのものや、雇用管理、つまり人事のような業務の支援まで提供するサービスもある。

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 これまで、こうした障がい者雇用ビジネスを提供するために届出や許可などは必要なかった。もちろん、すべての事業が無許可でできるわけではなく、行政の指定や許可が必要な事業もあるが、サテライトオフィスを就業場所として提供するといった事業には許可は不要だった。

 ところが2026年8月、厚生労働省が障がい者雇用ビジネスの事業者に届出を義務付ける考えを示した。来年にも障がい者雇用促進法を改正し、事業者には届出をさせ、併せて障がい者雇用ビジネスに関するガイドラインを策定し、それに沿った運営を求めていくという。

 このような障がい者雇用ビジネスをめぐる規制の強化は、障がい者雇用ビジネスにどのような影響を与えるのか。また、企業の障がい者雇用や、労働市場にはどのような影響を与えるのか。考えていきたい。
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農園で野菜づくり?規制の外で膨らんだ“丸投げ”の実態

 だが、障がい者雇用ビジネスと聞いても、具体的なイメージが浮かぶ方は少ないかもしれない。まずは、障がい者雇用ビジネスそのものの説明や、その背景、そして問題点についてもまとめておきたい。

 一定規模以上の企業は、障がい者雇用促進法で定められた割合以上の障がい者を雇用しなければならない。障がい者の雇用が法定雇用率に満たない場合、企業の規模によっては納付金の徴収やハローワークの指導があり、企業名が公表される場合もある。

 このため、企業は障がい者の雇用に努めているのだが、他の社員と同じように採用し、仕事を任せるというわけにはいかない。通勤、職場環境、仕事内容やその後の習熟・成長についても配慮が必要な場合がある。

 もちろん、採用する企業自体が理解と知識を深めて、適切な配慮を行うことが重要ではあるが、すべての企業でそれを実現することは現実的ではない。そのため専門知識を持った担当者や障がい者雇用のノウハウが十分でない企業がスムーズに障がい者を雇用できるよう、支援する存在が障がい者雇用ビジネスである。

 障がい者雇用ビジネスとひと口に言っても、その業態にはさまざまなものが含まれる。有料職業紹介業、つまり、人材紹介として障がい者を専門に支援しているサービスもある。他にも、障がい者が仕事に就くための支援をより専門的に提供する就労移行支援のサービスや就労継続支援のサービスなどもあり、それぞれ目的や支援内容が異なる。

 先に挙げた人材紹介は厚生労働相の許可が、就労移行支援や就労継続支援は自治体の指定が必要で、企業が無許可ではできない。

 しかし、実は障がい者雇用ビジネスの多くはこうした許可が必要なものではなく、法規制に触れないコンサルティングや採用代行サービスに近い形で提供されている。障がい者雇用ビジネスは、厳しい規制がない部分を選んでサービスが提供されてきたことで、問題点も膨らんできた背景があり、実際、過去にもさまざまな問題が指摘されてきた。

 たとえば、「農園型」と呼ばれる障がい者が農園で農作業に従事するタイプや、「サテライトオフィス型」と呼ばれる本社から離れたオフィスで勤務するタイプなどが種類として多い。

 だが、雇用する企業の本来の業務と関係ない仕事を任され、農園の野菜など成果物も企業の事業に関係せず、本来目指すべき共生や雇用創出からかけ離れているのではないかという指摘が以前から多かった。

 また、雇用する企業が障がい者雇用ビジネスに現場を丸投げしているのではないか、雇用される障がい者にやりがいと成長機会を伴った仕事が与えられず、キャリアにつながっていないのではないかといった問題点も指摘されている。

 実際に、障がい者雇用ビジネスの事業者が雇用を代行して雇われていた障がい者が、実務を与えられずに放置されていた、障がい者と雇用主の企業との連絡や障がい者同士での連絡が制限されていたといった報道も出ている。 【次ページ】届出制に努力義務…厚労省の新規制は妥当なのか?
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