• 2026/08/25 19:30 掲載

防衛省がドローンのスウォーム攻撃を迎撃する近距離対空システムCRADSを開発へ

1
会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。
防衛省は2027年度から無人機や弾道ミサイルの攻撃に対処するための新たな迎撃装置である近距離対空システムの開発を開始する。射程や費用の異なる迎撃ミサイルと機関砲およびレーザー兵器を組み合わせ状況に応じて最適な迎撃手段を自動で選択する仕組みを構築する。2027年度予算の概算要求に盛り込まれた。
 背景にあるのが、多数の無人機を同時に投入する「スウォーム(群れ)攻撃」や、多数のミサイルなどをほぼ同時に発射する「飽和攻撃」の脅威だ。ロシアによるウクライナ侵攻など近年の紛争では、無人機やミサイルを組み合わせた複合的な攻撃への対処が大きな課題となっている。CRADSでは、射程やコストなど特性の異なる複数の迎撃手段を組み合わせる。迎撃ミサイルは比較的長い射程を持つ一方、1発あたりのコストが高く、搭載できる弾数にも限りがある。これに対し、機関砲は射程が短いものの、より低コストで多数の弾を発射できる。

 さらに近距離では、現在開発が進められているレーザー兵器を活用する。レーザーは弾薬を使わないため従来兵器のような弾数の制約を受けにくい一方、ミサイルや機関砲より射程が短い。CRADSはこうした違いを生かし、目標までの距離や状況に応じて迎撃手段を使い分けることで、多数の飛来物への対処能力を高めることを狙う。新システムは陸上自衛隊への導入が見込まれており、機動力を確保するため車両への搭載を想定している。固定された防空拠点だけでなく、部隊の展開に合わせて移動しながら防空能力を提供できるシステムを目指す。

画像
【図版付き記事はこちら】防衛省、ドローン・ミサイルの新迎撃システムを開発へ(図版:ビジネス+IT)
 防衛省はCRADSとは別に、ドローン対処のための「高出力マイクロ波(HPM)」の実証事業にも2027年度から取り組む方針だ。強力なマイクロ波をビーム状に照射し、ドローン内部の電子制御システムなどに作用させて無力化する技術で、多数の小型無人機への対処手段として研究が進められている。レーザーやHPMといった指向性エネルギー技術について、防衛省は以前から早期装備化を進める方針を示している。従来の迎撃ミサイルだけでは、大量に投入される低価格な無人機に対してコスト面や弾数面で不利になりやすく、より安価で継続的に使用できる迎撃手段を組み合わせる必要性が高まっている。

 また、防衛省は迎撃装置や戦闘機など自衛隊の装備品を模した「デコイ(おとり)」の導入も進める。攻撃側に多数の標的を提示することで攻撃を分散させ、本物の装備や施設への被害を抑える狙いがある。陸上自衛隊では現在、93式近距離地対空誘導弾などが近距離の防空を担っている。一方、防衛省は93式の後継として、低高度で飛来する巡航ミサイルなどへの対処能力を持つ「新近距離地対空誘導弾」の開発も別途進めている。

 CRADSは、ミサイルだけに依存するのではなく、機関砲やレーザーといった特性の異なる迎撃手段を組み合わせることが大きな特徴となる。大量の無人機やミサイルが同時に飛来する新たな脅威を前に、日本の近距離防空も複数の迎撃手段を組み合わせる「多層型」への転換が進みそうだ。

Googleで見つけやすく

評価する

いいね!でぜひ著者を応援してください

  • 1

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

基本情報公開時のサンプル画像
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます

基本情報公開時のサンプル画像