- 2026/08/20 06:50 掲載
【比較】三菱重工・IHI・川崎重工、実はドル箱「航空エンジン特需」の勝ち組はどこか
なぜ航空エンジンが「ドル箱」に?
今回の決算で目立ったのが、航空・防衛を成長源とする企業の強さだ。三菱重工の売上収益は前年同期比15.5%増の1兆1,942億円、事業利益は65.1%増の1,596億円だった。IHIも売上収益3,745億円、営業利益732億円。なお、IHIの営業利益には不動産売却益400億円が含まれるため、利益を単純比較する際には注意が必要だ。それでも、この一時益を除いた営業利益は331億円と、第1四半期として過去最高となった。民間エンジンなどの需要拡大が本業の増益を支えている。
なぜ航空エンジンがこれほど重要なのか。ポイントは、エンジンを「売って終わり」ではないことにある。
新製エンジンを航空会社などに供給した後、長期にわたって交換用のスペアパーツや整備・修理需要が発生する。IHIは民間エンジン事業について、PW1100G-JM、GEnx、V2500、GE90、CF34などの第1世代に、GE9XやPassport20など第2世代の収益が積み重なる構造を描いている。しかも同社資料では、整備・修理を含むアフターマーケットを高収益の領域として位置付ける。
三菱重工も同様だ。傘下の三菱重工航空エンジンは、ボーイング787向けTrent 1000、エアバスA350向けTrent XWB、A320neo向けPW1100G-JMなどの国際共同開発・新製事業に参画する一方、PW4000、V2500、PW1100G-JMなどの整備も手掛ける。会社側は旅客機市場が今後20年で2倍以上に伸びるとの予測を示し、新製と整備の「両輪」で事業拡大を狙う。
つまり、争奪戦の本質は新しい旅客機に何基エンジンを積めるかだけではない。何十年にも及ぶ航空機のライフサイクルの中で、スペアパーツやMRO(整備・修理・分解点検)需要をどれだけ取り込めるか。その違いが、これから日本の重工各社の収益力を左右する可能性がある。
今回の決算から見えてくるのは、航空需要の回復が3社に追い風となる一方、その恩恵を利益に変える仕組みはそれぞれ異なるということだ。IHIは民間エンジン需要の拡大とアフターマーケットが本業の増益をけん引し、三菱重工も航空・防衛・宇宙で増収増益を確保した。
川崎重工も売上収益が前年同期比11.3%増の5,436億円、事業利益が74.3%増の358億円と、第1四半期として過去最高を更新。航空エンジンでは、新製品をどれだけ供給するかだけでなく、その後のスペアパーツやMRO需要を長期にわたって取り込めるかが重要だ。
IHI、三菱重工、川崎重工で異なる「稼ぎ方」を踏まえれば、目先の決算数字だけでなく、航空機の長いライフサイクルを通じて収益を積み上げられる事業構造こそが、今後の勝敗を分けることになりそうだ。 【次ページ】【比較】三菱重工・IHI・川重の最新決算を分析
航空・宇宙・軍事ビジネスのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR