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  • 2024/04/03 掲載

「組込型保険」を作るには? 東京海上日動やMUFGなど先進事例を解説

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前々回の記事では概説編として、「Embedded Insurance(組込型保険)」を実現するために考えるべきことを整理しました。今回は実践編として、「サービス組込型キャンセル保険」の宿泊施設向けサービスの具体的な事例を挙げ、トライアルを経て本リリースに至るまでの立ち上げのプロセスから現状の取り組みに加え、組込型保険の事例を紹介します。

執筆:Finatext 保険事業責任者 河端一寛

執筆:Finatext 保険事業責任者 河端一寛

東京大学経済学部卒業。博報堂(途中、博報堂コンサルティングに出向)、ボストンコンサルティンググループ(BCG)を経て、Finatextに入社。 博報堂では、消費財・機械、小売等のマーケティング戦略立案・実行支援業務に従事。 BCGでは、複数の新規事業・新サービス立ち上げ支援業務に従事。

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組込型保険の作り方とは
(Photo/Shutterstock.com)

「旅行予約キャンセル保険」をシステムに組み込んだ方法

 概説編では、組込型保険を開発する際の3つの観点、つまり「保険商品」「アライアンス」「システム」に分けて話を進めましたが、実務ではこれら3つは相互に関連しています。

 本稿では旅館やホテルなど宿泊施設のキャンセル料を補償する「旅行予約キャンセル保険」を例に組込型保険のすべてのプロジェクトに共通するポイントを説明します。

 筆者が所属するFinatextでは複数の宿泊予約プラットフォームと連携して旅行予約キャンセル保険を展開していますが、最初に組込先として連携したのはキャディッシュという岐阜県の企業です。同社は宿泊施設に向けて「予約番」という予約システム(SaaS)を提供する宿泊予約プラットフォーム大手で、その予約システムに旅行予約キャンセル保険の販売動線を組み込み、予約者に保険を案内する仕組みです。

 キャディッシュは当初から、旅行予約キャンセル保険に期待感を持っていました。宿泊業界にとって無断キャンセルなどによる損失は長年のビジネス課題です。特に高級旅館は高価な食材を使った料理を提供するため、無断キャンセルによる損失は大ダメージです。

 予約客側も、急病などにより旅行を断念せざるを得ない場合に相応のキャンセル料が生じます。キャディッシュは宿泊施設と予約客の双方を救済する手段として、旅行予約キャンセル保険をとらえていました。

 一方、導入を担ったFinatextの関係会社(スマートプラス)では、「必要最低限の機能を備えたプロダクト(Minimum Viable Product:MVP)」に近い形で、早期にビジネスを立ち上げつつ、顧客や組込先パートナーの反応を見ながら商品・サービスのアップデートするアプローチを志向していました。

 旅行予約キャンセル保険においても、予約番への早期の組み込みを望んでいましたが、その時点では保険料がほかの同様のキャンセル保険と比べて割高ということなど商品性にややネックがありました。

 キャディッシュにとって宿泊施設との関係は長期的、継続的なものです。一度でも「予約番に搭載されたキャンセル保険はイマイチだ」という印象がついてしまうと、その払拭は困難になります。

 そこでまずはトライアルという形で、キャディッシュと関係の深い宿に限定して展開することになりました。後の改修を想定してシステムを作り込まず、リンク型の簡易な連携で展開するトライアルで、顧客の反応を探りつつ本リリースを目指したのです。

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ステークホルダー連携図。予約番を導入している宿泊施設は全国に2200以上(2023年11月末時点)あり、宿泊施設ごとに保険の潜在顧客である予約者が存在するため、数多くのステークホルダーが束ねられる構造
(出典:Finatext 編集部作成)
【次ページ】「保険料を4割引きできた理由」「3つの組込型保険の事例」

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