- 2026/07/23 07:00 掲載
JPモルガンやゴールドマンが「AIで大儲け」、大手銀が「AI相場の銀行」になった理由
米大手銀の好決算、「実力だけ」ではないワケ
2026年7月14~15日、米JPモルガン・チェース、米ゴールドマン・サックス、米モルガン・スタンレーの2026年4~6月期決算が出そろった。いずれも株式取引や投資銀行業務が大きく伸び、ウォール街の活況を映す結果となった。JPモルガンの純利益は前年同期比41%増の212億ドル。市場部門収入は35%増、うち株式部門は86%増となり、投資銀行手数料も30%伸びた。ゴールドマンの純収益は39%増の203億4,000万ドル、純利益は66億3,000万ドル。モルガン・スタンレーも純収益が27%増の213億5,000万ドル、純利益が56億ドルに達した。異例の伸びである。
ただし、利益の表面だけを見てはいけない。JPモルガンの純利益には、保有するVisa株に関連する46億ドルの利益などが含まれる。特殊要因を除いた純利益は169億ドルで、伸び率は13%となる。それでも市場部門の増収や資産運用手数料の拡大は鮮明であり、本業が弱かったわけではない。
今回の好決算にはAIブームもあるが、そのおかげと断定するのは危険だ。各社が説明したのは、活発な顧客取引、大型IPO、M&Aの完了、株式引き受け、良好な市場環境などである。JPモルガンのジェレミー・バーナムCFOも、同じ市場条件の組み合わせが繰り返される可能性は統計的に高くないとの見方を示した。
それでも、AIへの巨額投資が企業の資金調達、株式売買、インフラ融資、富裕層の運用資産へ波及し、銀行の複数部門を同時に押し上げている可能性は高い。米大手銀はAI企業そのものではない。だが、AI相場の熱気から何重にも手数料を得る「AI相場の銀行」になりつつある。
AIマネーが銀行へ流れ込む「5つの収益経路」
AIマネーが流入する第1の経路は、株式売買だ。AI関連株を中心に株価が動き、取引量やデリバティブ取引が増えれば、銀行は顧客注文の執行、マーケットメーク、プライム・ファイナンスなどで収益を得る。JPモルガンの株式部門の収入は86%増、ゴールドマンは72%増、モルガン・スタンレーは69%増だった。銀行自身がAI株の上昇を予測できなくても、売買が活発なら収益機会は増える。第2は株式引き受け、第3はM&A助言である。AI企業や半導体、電力、データセンター関連企業がIPOや増資を実施すれば、銀行には引受手数料が入る。企業がAI技術や人材を求めて買収へ動けば、助言手数料も発生する。ゴールドマンの投資銀行手数料は55%増の33億9,500万ドル、モルガン・スタンレーの投資銀行収入は58%増の24億3,700万ドルだった。両社はIPOや追加売り出し、買収案件の増加を理由に挙げている。
第4は、社債引き受けと融資だ。モルガン・スタンレーの調査部門は、大手テクノロジー企業の2026年の設備投資計画を合計7,400億ドルと試算し、前年から69%増えるとしている。データセンター、半導体、送電網、発電設備の建設には巨額の借り入れや社債発行が必要となる。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOも「AI投資は昨年の4,000億ドルから今年7,000億ドル、来年は1兆ドル超になる」と説明した。
第5は資産運用だ。株価上昇は顧客資産の時価を押し上げ、残高連動型の運用手数料を増やす。JPモルガンの運用資産は18%増の5兆1,000億ドル。モルガン・スタンレーでは、ウェルス・マネジメントと運用部門を合わせた顧客資産が10兆ドルへ達し、資産管理収入も伸びた。AI相場は取引の瞬間だけでなく、積み上がった資産残高からも収益を生むという。 【次ページ】3社比較、AI相場に最も近い銀行はどこか
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