- 2026/06/10 掲載
27年春「手形・小切手」消滅へ、“資金化不能”になる前に…今すぐやるべき3ステップ
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」
2027年春に向けて進む「脱・紙決済」
手形や小切手は、現金をその場で持ち歩かずに遠隔地をまたぐ取引を成立させる手段として、企業間決済の土台を担ってきました。売り手は支払期日まで待って代金を受け取る仕組みであり、必要に応じて銀行を通じて期日前に現金化することも可能です。しかし、全国的にその役割は縮小しています。手形・小切手の利用枚数は1979年に約4億4000万枚ありましたが、2024年には1967万枚まで減少しました。
こうした利用実態を受け、全国銀行協会は2021年に「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」を策定し、紙による決済を廃止する方針を掲げました。
2025年3月の中間評価を経て、最終的に「2027年度初(2027年3月末)から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止する」という抜本策が決定されています。政府も、社会全体のデジタル化を推進する一環として銀行界の取り組みを後押ししています。
手形・小切手廃止に向けた銀行界の本気度
とはいえ業界団体や政府が方針を決めても、民間側で紙の利用が直ちに根絶されたわけではありません。そこで銀行界は2021年7月に「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」を策定。2026年度末までの約5年間を計画期間と定め、電子記録債権(でんさい)またはインターネットバンキングによる振込への移行を強力に促進し、「紙」による決済を廃止する方向性を打ち出しました。最終目標として、2026年度末までに電子交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを掲げています。ただ、2025年3月の中間評価では、従来の取り組みだけでは目標達成が難しいとされ、抜本策として「2027年度初から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止する」方針が決まったという経緯があります。
手形払いを禁止した「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律」(通称「取適法」)の導入も、銀行界にとって計画達成に向けた追い風となっています。 【次ページ】事業者に迫る「資金化不能」リスク
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