• 2026/06/16 掲載

日銀「利上げ」で景気は失速するのか? 物価高ニッポンが直面する“最大のジレンマ”(2/3)

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日銀が直面するもう1つの難題

──利上げ以外にも、市場に供給する資金の量をいかに調整していくかという非伝統的金融政策についてはいかがでしょうか。

永濱氏:今回の日銀の金融政策では、利上げだけでなく量的引き締め(日銀が保有する国債を減らし、市場に出回るお金の量を絞っていく政策)が重要な論点になります。

 長期金利が上がっている理由として、日銀の量的引き締めのペースが早すぎるのではないかという見方もあります。日銀が国債の買い入れを減らすと、国債市場の需給が不安定になり、長期金利が上がりやすくなる可能性があります。

 もしそれが本当なら、政策金利は上げる一方で、量的引き締めのペースは鈍化させるという組み合わせも選択肢になります。

 利上げの是非だけでなく、国債買い入れの減額をどのペースで進めるのか。日銀には、政策金利と量的引き締めをどう組み合わせるかという難題も突きつけられているのです。

物価高対策で問われる「本当に苦しい人」への支援

──春闘では賃上げ率が5%を超えましたが、現在のインフレは良い方向に向かっているのでしょうか。

永濱氏:実は年明け以降、実質賃金は明確にプラスになっています。春闘の賃上げ率が3年連続で5%を超え、名目賃金も3%以上上がっている。一方で、政府の物価高対策もあって、インフレ率は1%台半ばぐらいに抑え込まれている。ですから足元では実質賃金がプラスになっているわけです。

 ただし、楽観はできません。これから中東情勢の影響が物価に反映されてくる可能性があるからです。賃金の伸びはそれなりに確保できると思いますが、エネルギー価格の上昇が本格的に物価へ波及したときに、実質賃金のプラスが持続できるかどうかは注意して見る必要があります。

──実質賃金がプラスに転じたとはいえ、すべての人の賃金が同じように上がっているわけではありません。

 物価はすべての人に大きく影響する一方で、賃金は人によって上がり方が違います。ものすごく上がる人もいれば、あまり上がらない人もいる。

 だからこそ、賃金が物価以上に上がらず苦しくなっている人をどう支えるかが重要です。足元では、ガソリン価格を補助金で抑えたり、電気・ガスの負担軽減策が行われています。さらに食料品の消費税率引き下げや、将来的には給付付き税額控除のような中低所得者向け支援も論点になってくると思います。

 今の物価高は、単純な需要過熱によるインフレではありません。原油高、円安、供給制約(原材料や人手、エネルギーなどが不足し需要に対して十分な商品・サービスを供給できない状態)が複雑に絡んでいます。そのため、政策対応も一律ではなく、家計への短期的な支援と、供給力を高める中長期の政策を組み合わせる必要があります。 【次ページ】サナエノミクスはアベノミクスの二番煎じではない?
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