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- 2025/10/10 掲載
消費者ブチギレ……えぐいインフレで本格化、AIによる「値付け革命」の衝撃実態
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
トランプ関税がもたらした「値札への弊害」
トランプ米大統領が4月に導入した相互関税は、トランプ氏の気まぐれとも思える政策変更により、税率がコロコロ変わる。これが、小売チェーンに大きな負担をもたらしている。輸入衣料を例に取ると、販売の数カ月前に価格が決定され、ベトナムやインドネシアなど生産地側で紙の値札が付けられる場合が多い。だが、商品が米国の港湾に到着する頃には製造発注の際にかかっていなかった関税が賦課され、それを小売業者が小売価格に転嫁すべく、販売時に値札に訂正が必要となるケースが増えている。
米小売ニュースサイトのRetail Brewが報じるところによると、ウォルマートやターゲットでは現場の店員が、「値札のバーコード部分を残し、価格が数字で表示されている部分を破り取る」よう指示を受けることが増えた。あるターゲットの店員は、「手作業では頻繁に行われる価格改定に追い付けない」と語る。
このように価格変更が頻繁に発生する環境において、米コンサルティング大手ボストン・コンサルティングのジャクリーン・マルティネス常務は「値札の付け替えは運営上、コストがかさみ、困難を伴う」と指摘する。
そこで注目されているのが、デジタル値札と、AIによる自動価格算出である。
【次ページ】注目集める「デジタル値札×AI」の新たな価格設定
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