- 2026/08/28 06:30 掲載
日銀9月利上げでも円安は終わらない? 為替を動かす“真の原因”と投資環境4つの論点(2/2)
【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
7月の米雇用統計はなぜ弱い? 夏場に沈む“季節のクセ”
その点、8月入り後に発表された米国の経済指標は軟調なものが多く、Fed(米国中央銀行制度)の利上げ見送りを正当化している。代表的なものとして7月の雇用統計があった。結論を先取りすると、雇用統計の公表値は技術的な要因から弱さが誇張されている可能性が高いとはいえ、インフレの源泉になり得る労働市場の過熱は観察されず、賃金インフレの兆候に乏しいことを示す結果であった。
数値を概観すると、雇用者数は前月比マイナス2.3万人と、プラス8.0万人増加を見込んでいた市場予想に反して減少した。同時に過去2カ月分の数値は合計10.3万人が下方修正され、雇用者数の3カ月平均値は2.0万人へと急減速した。
雇用者数の基調は2026年入り後に復調の気配が強まっていたものの、7月分の弱さによってその強さは大部分が失われた格好になる。
ここで雇用者数変化を1次速報値に限定して月別の傾向を測ってみると、夏場に弱含む傾向が浮かび上がる。もちろんデータ公表の労働省統計局は季節要因を取り除いた季節調整値を公表しているのだが、季節要因が残存している可能性が指摘されており、実際、2000年以降の平均値をとってみると、夏場に弱含む傾向が観察されている。
夏場のハリケーンや冬場の豪雪、クリスマスシーズンの繁忙期とその後に訪れる閑散期など、毎年繰り返される季節的な事象は統計的にある程度の調整が可能になる。一方でリーマンショックやコロナなど通常の季節パターンで取り除けない要因もあり、季節調整は難しい。
また教員の夏休み開始時期が微妙に変動することで7月に弱さが観察されることもしばしばあり、今年も地方政府の教育部門が前月比マイナス5.0万人の減少となった。
2024年も2025年も9月に利下げ…今年のFedはどう動く?
2025年も同様に7月の雇用者数が減速し、なおかつ過去2カ月分の数値が25.8万人も下方修正され、労働市場の見方が一気に弱気に傾いた。Fedが2024年、2025年ともに9月FOMC(米連邦公開市場委員会)から利下げを開始するに至ったことは記憶に新しい。
今年の雇用統計が単なる統計的なクセであるかは判然としないが、秋・冬に向けて労働市場の弱さが解消される可能性はあろう。
日本株、8月は平均2.1%下振れ? 季節性が示す“買い場”
季節調整とは、毎年のように観察される季節的な変動を除去する統計処理のことであり、たとえば百貨店では年末商戦やクリスマス、初売りの影響で12月から1月にかけて売り上げが増えやすい一方、2月は大型の販促行事が比較的少なく、売り上げが落ち着きやすい。こうした月ごとの規則的な変動を取り除くのが季節調整である。
もちろん、株式相場にそうした規則的な季節変動はないはずである。ただし、夏場は弱く、年末にかけて強含む傾向は多くの人に知られており、相場用語でも「サンタクロース・ラリー」「掉尾(とうび)の一振」などと年末の株高にちなんだものがある。
そこで8月の数値を見ると「平均的に2.1%下振れする季節性が推計された」という結果になっている。同様に9月、10月も弱さが残存するが、逆に年末にかけては強含む傾向があり、12月にはプラス1.6%の季節性が認められ、その強さは4月ごろまで引き継がれる。
今年に当てはめると、夏場の弱い雇用統計を受けて米国経済に対する期待が弱まり、株価は世界的に足踏みするが、秋ごろから強い雇用統計を受けて米国経済の加速期待が高まり、株高になるという展開が浮かび上がる。
株式・債券・金利・資金調達のおすすめコンテンツ
株式・債券・金利・資金調達の関連コンテンツ
PR
PR
PR