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  • 2019/10/30

「目指すは“ドラえもん”」Origami、じぶん銀行らが語る日本のフィンテックの未来

近年バズワードとしてなじみ深い言葉となっている「フィンテック」。日本におけるフィンテックの現状とは。そして、日本がフィンテック事業で世界を牽引するために必要なこととは。じぶん銀行 榊原 一弥氏、サインポスト 西島 康隆氏、Origami 伏見 慎剛氏らフィンテック企業から3名を招いてディスカッションが行われた。メインファシリテーターは、財務副大臣(当時) 鈴木 けいすけ氏が務める。

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日本におけるフィンテックの未来の姿を巡って議論が交わされた
(Photo/Getty Images)


キャッシュレス戦国時代の日本、進む道は集約化か細分化か

 ゲストパネリストとしてトークセッションに参加したのは、じぶん銀行 執行役員 受信・決済ユニット長(当時) 榊原 一弥氏、サインポスト 専務取締役 金融システム事業部長 西島 康隆氏、Origami 事業開発ディレクター 伏見 慎剛氏だ。

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イグニション・ポイント
コンサルティング事業部
金融インダストリーマネージャー
島田淳一氏
 ファシリテーターは、財務副大臣(当時) 鈴木 けいすけ氏、イグニション・ポイント コンサルティング事業部 金融インダストリーマネージャー 島田 淳一氏、モデル 渡辺 枝里子氏の3名が務める。

 まず最初に島田氏が、なぜ「フィンテック」というテーマでこの3者を招いたか説明した。

「じぶん銀行さんはモバイルに特化した銀行、世界に先駆けた銀行ということでお呼びしました。サインポストさんは金融のコンサルティング事業を柱としていて、最近ではイノベーション事業として無人レジを開発して実証実験をされています。最後にOrigamiさんはQRコードによる決済プラットフォームを提供されています。いずれも、フィンテックに異なる切り口で挑戦されている企業ということで、参加していただきました」(島田氏)

 そして話題は日本における決済サービスの多様化から始まった。クレジットカードや電子マネー、スマートフォンのQRコード決済アプリ等、決済に関わるサービスは近年爆発的に増え、“キャッシュレス戦国時代”の様相を呈している。多様化するキャッシュレス手段は、今後集約されていくのか。それとも、細分化がさらに進んでいくのか。QRコード決済サービスを提供するOrigamiの伏見氏は、日本人の国民性に着目し、こう語った。

「日本人は1人あたりキャッシュレスの支払い手段を8.2個も持っていると言われています。百貨店に行く時は百貨店のカード、スーパーに行く時はスーパーのポイントカードと、その時々で一番お得になるカードを“出し分けて使う”国民性がありますよね。これは、決済サービスの独占化が起こっている中国との大きな違いです」(伏見氏)

 日本人の国民性を考えると今よりもっと決済サービスが増えるのではないか、と伏見氏は続ける。現在、自動車業界や金融業界でも自社でQRコード決済をやろうとする機運はどんどん高まってきている。「だからOrigamiは、色々な事業者がアプリのQRコード決済を簡単に始められて、かつ同じ規格で決済が受け付けられるようなオープンなサービスを作ることを目指しています」と伏見氏は語る。

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Origami
事業開発ディレクター
伏見慎剛氏

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財務副大臣(当時)
鈴木けいすけ氏
 ファシリテーターの鈴木氏は、日本の決済サービスが集約化していくか細分化していくかを予測するのは非常に難しいとしつつ、いずれの方向においても伏見氏が最後に触れた“オープンなサービス”が必要になると言及。

 このオープンなサービスが持つ可能性について、銀行・レジという異なる立場からパネリストの見解を求めた。はじめに回答したのは、スマートフォンを中心とした銀行サービスを提供する、じぶん銀行の榊原氏だ。

「決済はもともと銀行がやってきた分野で、最近はOrigamiさんをはじめ、色々な事業者が参入してきています。一時は敵になるんじゃないかという議論が銀行業界で話題になっていましたが、最近は一緒に決済プラットフォームを作っていきましょう、と風向きが変わってきています。じぶん銀行がスマートフォンを使ったデビットサービスを出すなど、モバイルを通して便利に使っていただく取り組みは銀行でも始まっています」(榊原氏)

 続いて、無人AIレジを提供するサインポストの西島氏が回答。

「レジを作る立場としては、決済手段がたくさんあるのは大変なため、通信手段・QRコードの規格が統一されていってほしいですね。規格化されるようになると、機能的な部分で差別化はできなくなってしまうため、サービス自体で差別化することが求められていると思います」(西島氏)

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サインポスト
専務取締役 金融システム事業部長
西島康隆氏

 モデルの渡辺氏は、消費者として買い物をする際には、カードのサービス内容によって行く店を決めていると話す。

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モデル 渡辺 枝里子氏
「クレジットカードが普及してから“○%オフ”というのをよく目にするようになりましたよね。5%オフの日や、追加サービスなどがあるときには『じゃあここで買おうかな』となります」(渡辺氏)

 小売業者の立場からすると、規格の統一化は顧客の囲い込みができなくなるため、都合が悪い側面があるかもしれない。しかし、キャッシュレス戦国時代とも呼ばれる今、サービス自体で差別化された価値を提供できないようでは、生き残れない時代が来ているようだ。

フィンテックが“ドラえもん”になるために

 決済サービスの現状・今後の展望から、話題は“フィンテックが果たす役割”へと移った。じぶん銀行の榊原氏は、お客さまにとって自社がどのような存在であるべきかを考えた際に、”バディ”という言葉に行き着いたという。

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じぶん銀行
執行役員 受信・決済ユニット長(当時)
榊原一弥氏

「お客さまに寄り添うというか、いつも一緒にいて、困った時には助ける存在。何かしてほしい時に、すごく心地の良いサポートができるような存在でありたいなと。フィンテックは、“ドラえもん”を目指していくんだろうなと思います」(榊原氏)

 フィンテックがドラえもんのような存在(≒優しく寄り添い、困りごとに合った道具を駆使して助けてくれる存在)となるためには、お客さまが困ったときに出すことができる道具の数、すなわちサービスの幅が必要となる。Origamiの伏見氏は、デジタルウォレットを例にデータ活用の可能性について語った。

「デジタルウォレットの中にはお金相当のものが入っているので、資産運用をしたり保険に入ったりという世界が当然来るでしょう。一方、事業者側は資金ニーズがあるので、銀行や信用金庫にわざわざ行ってお金を借りなくても、日々の売上データを基に入金額が決まり翌日には入金されるサービスも出てくると思います」(伏見氏)

 消費者側であっても事業者側であっても、データによって、周辺領域でさまざまなサービスが生まれる可能性を秘めている。フィンテックがドラえもんへと近づく第一歩は、データの効果的な活用がキーワードになるだろう。

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