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- 2025/08/12 掲載
ついに「不動産バブル崩壊」の中国、この先巻き返すのは「無理ゲーすぎる」苦しい事情
連載:どうなる? これからの日本の不動産
不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。 1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。 主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。 東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を 有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。 その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。 主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、 「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、 「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。 「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」 などテレビ、ラジオの出演多数。 早稲田大学オープンカレッジ講師。
中国が抱える「圧倒的」マンション在庫
中国の不動産バブルが崩壊したのは、もはや衆知の事実になった。しかし、そのバブルの規模がどれくらいなのか、正確にはよく分からない。先日、中国の国家統計局が発表した2025年4-6月期のGDPは前年同期比5.2%増ということだった。ところが、この数字の信頼性については、Bloombergなどの報道で疑問視されており、同国経済の実態を正確に反映しているかは不明瞭だ。
一説によると、中国が抱えているマンションの在庫は34億人が住める規模だという。中国当局が発表する同国の人口は約14億人のため、余剰は20億人ということになる。
みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、2024年の中国の住宅在庫は約44億平米に上ると、日本経済新聞は報道している。1住戸が100平米だとすると、4400万戸ということになる。
日本に分譲マンションが建ち始めたのは1960年ごろ。それ以来約60余年で誕生した日本の区分所有マンションの総数は700万戸ちょっと。中国にはその6倍以上の「在庫」があることになる。
中国経済で思い出される「バブルの記憶」
日本は1990年代の初頭に弾けた「平成大バブル」の処理に苦しみ、その後「失われた30年」とも呼ばれる経済の低迷に苦しんだ。人口の減少も重なり、今もその後遺症から完全に脱したとは言い切れない。日本がバブルの処理でもっとも苦しんだのは「不良債権」の問題だ。不良債権とは、バブルで「イケイケ」状態の不動産会社に銀行が貸したお金が、焦げ付いて返済されないで帳簿上に残っていることである。その総額は半端ではなく、当時で100兆円とも200兆円とも言われた。
銀行にとって、お金を貸した不動産会社が倒産して返済されなくなると、それはほぼ全部が損失となる。損失が膨らむと銀行の決算は大赤字となって、最悪は債務超過である。
銀行の経営が危ういとなると、預金している人が不安になって引き出しに殺到する。それで銀行は払い戻し不能になって破綻。これでは金融パニックだ。
近しい例では2023年3月、米カリフォルニア州のシリコンバレーバンクは、預金者の引き出しが殺到したことで経営破綻してしまった。
このバブル崩壊の苦い思い出が、今の中国経済を見ていると否応なしに思い返されるのだ。それは一体なぜだろうか。 【次ページ】中国経済の現状で思い出す「日本の平成バブル」
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