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- 2025/08/14 掲載
「楽天みずほ連合」は勝てるか? ソフバン・三井住友に挑む…逆襲シナリオの不安な中身
連載:デジタル個人金融最前線(第3回)
株式会社マリブジャパン代表取締役。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、主に銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)など。
【全体像】楽天ポイントを軸に拡大する…楽天経済圏
楽天グループは、日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の三木谷浩史(楽天G会長兼社長)が、1997年に起業したECモール運営会社を起源とする。そんな楽天Gは、現在、国内外において多岐にわたる分野で、70以上のサービスを提供している(下記)。(1)インターネットサービスセグメント
Eコマース、トラベル、デジタルコンテンツ…など
(2)フィンテックセグメント
クレジットカード、銀行、証券…など
(3)モバイルセグメント
携帯キャリア事業…など
(4)その他
東北楽天ゴールデンイーグルス、ヴィッセル神戸プロスポーツ事業など
これらサービスを、楽天会員を軸に有機的に結び付けることで、独自の「楽天エコシステム(経済圏)」を形成しているのだ。
そんな楽天の最大の強みは「楽天ポイント」で自社サービス内に利用者を囲い込めている点と言えるだろう。現在、楽天会員数は、国内で1億以上、2024年の年間ポイント発行額は5,800億円相当となり、2002年からの累計発行ポイント額は4.5兆億円相当にまで膨らんでいる。ここからは、今後の楽天Gの成長を占う部門の最近の状況について見ていきたい。
【モバイル事業】どれだけ厳しい…?最新の状況とは
携帯電話事業に2020年に本格参入した楽天グループは、自社回線網の整備と料金値下げ戦略で急速に契約者数を伸ばす一方、設備投資負担やARPU(利用者平均収入)の低水準が長く収益を圧迫してきた。参入当初は無料キャンペーンや大規模値下げで話題を集め、その後は全国展開やローミング縮小などでコスト構造の改善を進めているが、黒字化にはなお時間を要する状況が続いている。
直近の売上の状況を見ると、基地局建設など設備投資の負担が重く、足元の携帯事業の営業損益は、前期のマイナス3,145億円からマイナス2,089億円に改善しているものの、マイナス1,624億円と6期連続の最終赤字となっている(2024年12月期)。
これは、好調が続くインターネットサービスセグメントやフィンテックセグメントの利益を食い潰している構図だ。
なお、社債発行残高約1.6兆円に対して、手元流動性は6.1兆円あり、今後3年間の社債償還額を十分上回る水準を確保している。
【フィンテック事業】楽天銀の次は…楽天ペイが来るワケ
それでは、今回、みずほとの連携の影響を受けるフィンテック部門の実力はどうか。楽天Gは、フィンテックセグメントに、楽天カード、楽天Edy、楽天ペイ、楽天ポイントカード、楽天銀行、楽天証券、楽天生命、楽天損保などの金融サービス各社を擁しており、フィンテックセグメントは楽天グループ売上収益の3割超を占める。
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