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  • 2019/11/19

「これから注力するのはRisTech」MS&AD CDO 舩曵 真一郎氏に聞くこれからの保険の役割 (2/2)

1年で200人のデジタル人財育成にも取り組んだ

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 デジタル変革の時代に思うことは、デジタルが好きな人、興味や関心がある人は、自分できちんと勉強しているということ。変革の過渡期にある今は、自発的に学べる人が必要とされる時代だと思います。

 組織内に優秀な人財は数多くいますが、変革期に求められる人財はこれからどういう一手を打つべきかみたいな発想やアイデアを持っている人、発言できる人です。そういった人というのは、組織の中ではどちらかというと「ちょっとおたくっぽいな」「どこか変わっているな」という風に見えることも多いですが、組織の成長を考えた場合には人財の「多様性」は重要です。

 特に、デジタル変革の時代に、これまでのように、一つの価値観や手段にとらわれていると、成長を望むことは難しいでしょう。高度経済成長の時代には、一つの価値観、ゴールを目指して全員が一致して進むことが求められたと思いますが、今はそういう時代ではありません。

 多様性を受け入れ、公平な目で課題を見つけ、解決策を考えていくためには、組織の外を経験した人財との交流が必要で、MS&ADでも外部人財の獲得、登用は積極的に行っています。そもそもデザインシンキングというのは、多様性があってはじめて成立するものですから。

 また、人財育成の取り組みとしては、東洋大学情報連携学部(INIAD:イニアド)との提携があります。INIADの学部長を務める坂村 健教授に依頼し、MS&AD専用の研修プログラム「MSデジタルアカデミー」を創設しました。

 デジタル事業創造人財を育成する「ビジネスデザインコース」とデータサイエンティストを育成する「データサイエンティストコース」の2つのコースがあり、2018年度は三井住友海上の社員、年間約200名が受講しました。2019年度は対象をMS&ADグループ会社へ拡大し、継続的に実施しています。

 変革のためには一定の技術があった方がよいのと、これがないと前に進めないという部分があり、こうした教育を進めています。

 1年で200人を教育したので、それ相応の見識を持ったデジタル人財を、商品部門や営業部門といった組織に配置していくことができます。

 こうした教育を継続的に行えば、5年で1000人、10年で2000人を教育することができます。こうした取り組みを通じて、デジタル変革を進めていきたいと考えています。

データを活用し、社会課題の解決をめざすプラットフォーム「RisTech」に挑む

 IT投資については、中期経営計画が終わる2021年までに、原則として、オンプレミスで開発している基幹業務システムのオンライン化を完成させたいと考えます。

 そして、統合システムとしてのオンライン化が完了した後は、デジタルプラットフォームを使い、データを活用できる体制を構想しており、プラットフォームの開発は現在進行中、2019年10月にカットオーバーします。

 プラットフォームを使ったデータ活用は、具体的には、「Risk」と「Technology」をかけ合わせた新サービス「RisTech」の提供です。

 IoTによって、アクセンチュアなどの外部の事業者、顧客とデータ連携することによって、ビッグデータや最新の分析アルゴリズムを活用し、たとえば、減災や防災にデータを活用していきたいと思っています。

 これによって、企業などが抱えるリスクを可視化・最適化し、課題解決を図る新サービスを提供していく考えです。

 リスク管理というのは今後、保険業界のデジタル化の中核を担うと考えています。それは、社会貢献という意味で、最も価値のあることの一つです。

 前述したような、スタートアップのエコシステム構築のためのCVC設立、GDHのようなオープンイノベーション専任組織の構築、INIADとの連携による教育研修環境の整備は、すべてこのためにあるといっても過言ではありません。

 これまでの歴史で、保険というのは商品そのものに差別化要素は少なく、むしろ資本力が差別化要因となることが多かった。しかし、保険で災害は回避できませんが、保険会社が有するデータが減災の役に立つかもしれません。

 たとえば、台風が来たときに、どうしたら損害の規模を抑えられるかについての知見が、データによって提示できれば、保険会社としての差別化要因になると考えます。自然災害以外にも、工場の火災など、ビジネスの継続を阻害するリスクというのは、世の中の至るところにあります。

 データを活用し、お客さまや社会に対して、課題解決策を提示する「RisTech」のアプローチは、保険会社として進むべき一つの方向性を示しているのではないでしょうか。

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