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  • 2020/08/06

米金融史に残る快挙、「フィンテック企業の銀行免許取得」をどう見るか

FINOLAB コラム:

アジアでは香港やシンガポールで店舗のないデジタル銀行に対する免許の審査が話題になっているが、インターネット先進国米国では、これまで25年間のネット銀行の歴史で、連邦レベルの銀行免許を取得した例はなかった。しかし、ついにネオバンク/チャレンジャーバンクによる銀行免許取得が実現した。

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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ついに「フィンテック企業の銀行免許取得」が実現した
(Photo/Getty Images)

インターネットバンキング発祥の国

 米国がネットバンキング発祥の国であることは有名だが、最初の銀行という点では2通りの答がある。

 明細照会機能という点では、全米大手のウェールズファーゴバンク(Wells Fargo Bank)である。

 同行は、パソコンバンキングをIBMとシアーズが共同で設立した商用ネットワーク「Prodigy」を通じて1989年より提供していたが、利用があまり拡大しなかったことから、オープンなインターネットで利用できるサービスを1995年5月に導入した。ただし、同行が開始したのは明細確認に限定されており、取引機能が提供されたのは1996年になる。

 一方、取引機能を初めて提供したのが、世界初のインターネット専業銀行として有名なセキュリティファーストネットワークバンク(Security First Network Bank:SFNB)で、1995年10月18日に以下のようなホームページで登場した。

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Security First Network Bank開業時点ホームページのデジタルイメージ

 SFNBは、貯蓄金融機関の免許によって、当座預金やATM、クレジットカード、貯蓄預金、CDに加え、提携先を通じた住宅ローンも含め、通常の銀行サービスを一通り提供していた。

 銀行の支店内を再現したようなWebサイトでバーチャルバンクのイメージを強調した同行は、名前にも表されているように、高いセキュリティレベルの維持も売り物にしており、当時は最先端であった 暗号通信方式の「SSL128bit」を採用していた。

 SFNBは「世界初」ということで、大きな話題を集めたものの、口座開設を行なう顧客数は今ひとつ伸びず(当初1年間で1万口座に達しなかったと言われている)、1998年9月にはロイヤルバンクオブカナダ(Royal Bank of Canada) に売却され、その後2002年には看板を下ろすことになった。

 SFNBの経営陣は、銀行業務を売却する一方、ネットバンキングのシステムやセキュリティ技術の開発及びパッケージ販売を手がけるシステム会社としてSFNB Technologiesを独立させた。同社はS1に改称した後、多くの企業買収を経て、2012年2月に金融ITベンダー大手のエーシーアイワールドワイド(ACI Worldwide)に買収されている。

ハードルの高い銀行免許取得

 ネット銀行の歴史を語り始めると長くなってしまうが、ここで重要なのは、SFNB以来多くのネット専銀(最近ではデジタル銀行という言葉を使うケースも多い)が出現しているが、National Charter Bank(国法銀行)として銀行免許を取得した事例はなかった、という点である。

 米国では、預金の受入れと商業貸付を行う商業銀行業務を行うための銀行免許として、全国展開可能なNational Charter(国法認可)と州内限定のState Charter(州法認可)がある。

 また、預金の受入れを中心としたSavings Associations(貯蓄金融機関)にも全国規模のFederal Savings Association(連邦貯蓄金融機関)と州ごとのState Savings Association(州貯蓄金融機関)がある。さらに組合限定の金融機関としてCredit Union(信用組合)が存在する。

 連邦レベルの銀行免許は、連邦準備制度(FRS)、通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)といった当局によって、厳しい基準で運用されてきており、SFNBが登場した1995年以来、貯蓄金融機関の免許でネット専銀となったケースはあっても、国法認可を取得したケースはなかった。

 近年では、銀行と同じような預金・カード発行・ローンなどの金融サービスを、使いやすいユーザーインターフェースで、スマートフォンをメインチャネルとして提供する「ネオバンク/チャレンジャーバンク」が多くのフィンテック企業によって展開されている。しかし、預金の受け入れについてフィンテック企業は、必要な免許を保有している銀行と提携することによって、法規制に対応してきた。

デジタル銀行として初の連邦銀行免許を取得したVaro Money

 そうした状況に風穴をあけようとする動きが近年出てきた中で、OCCから国法認可を取得し、全米初の栄誉に輝いたのがバロマネー(Varo Money)であり、今後バロバンク(Varo Bank)と名乗ることができるようになる。

 かねてより国法認可を申請していたVaroは、2018年9月にOCCから正式認可のための条件を提示されており、一番のハードルと考えられていたFDICの認可が2020年2月におりたことから、いつOCCの正式認可がおりるかが注目されていたが、2020年7月31日に国法認可が正式発表となった。



【次ページ】銀行免許を取得した「Varo」とはどんなフィンテック企業か

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