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  • 2020/12/08

医療業界のフィンテックで「ブロックチェーン」と「ビットコイン」が用いられるワケ

フィンテックは今やあらゆる業界に広がりつつある。その中で米国で成長著しいと注目されているのが医療分野への進出だ。米国では健康保険は民間が経営し、利用者は病院に行くごとに保険で定められた患者支出分、「コ・ペイ(Co-pay)」を病院に納めるのだが、このコ・ペイの未払いが医療の現場では問題となっている。それを解決するために広がっているのがデジタル コ・ペイ システムだ。これらの取り組みをはじめ、今、医療業界のフィンテックではブロックチェーンとビットコインの活用が急速に広がりを見せている。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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米国は健康保険などで大きく出遅れているがテックで巻き返しが図られるかもしれない
(Photo/Getty Images)

コ・ペイ負担のために導入すべき3つのテクノロジー

 日本でも健康保険を提示した場合、患者が3割負担するというシステムがある。米国では保険の母体が民間のため、このコ・ペイはよりシビアだ。コ・ペイがあるがゆえに利用者が不必要な受診を控える傾向にあると評価される一方で、コ・ペイの延滞は医療機関に少なからぬ経済的損失をもたらしている。特にコロナが蔓延する今、各医療機関の経営状況は悪化しており、保険会社への請求も支払いが遅れる傾向がある。コ・ペイの未払い問題は以前より深刻だと言える。

 医療経営者のためのシンクタンクであるContinuum社では、コ・ペイを利用者に確実に負担させるために導入すべき3つのテクノロジーとして以下を挙げている。

1.患者のポータルサイトを作成する

 デジタル社会で生きる人々の中には、すべての支払いをオンライン決済で行いたい、という人も多い。こうした要望に答えるために、ポータルサイトを作成しそこで請求から支払いまでを一貫で行えるシステムを提供すること。

 さらにポータルで医療費明細、支払い請求を行うことはHIPPA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)基準をクリアする手段でもある。HIPPAは患者側が医療機関から過剰請求されることを防ぐ目的で作られており、医療機関にとっても遵守すべき法律だ。ポータルの導入により、安全かつ法に抵触しない形での情報開示、請求を行うことができる。

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処方箋配信サービスのイメージ
(出典:US Drug Formulary (v1.0.0: STU 1) based on FHIR R4.)

2.治療マネジメントソフトウェア

 患者のデータを分かりやすくダッシュボードに表示できる優れた治療マネジメントソフトウェアを導入することにより、患者の支払い状況をも明確にすることができる。ダッシュボードには患者のデモグラフィックデータ、保険情報、治療履歴、未払金があるかなどのアカウント詳細が示される。

 さらに患者が医療機関を訪れる前に保険の詳細を表示することにより、患者のコ・ペイの予想額を割り出し、あらかじめ患者に通達することが可能となる(米国では保険の種類により保険会社が負担する治療検査法に差がある。オバマケアなどの格安保険だけでは高額治療がカバーされず、患者の負担額が大きくなるケースも多い)。

3.患者の支払いログを作成

 治療を受けた時点で何らかの理由でコ・ペイを行わなかった患者について、氏名、電話番号、メールアドレス、未払い金額、患者が支払いを約束した日付などを詳細に記したログを作成することにより、現場のミスによる請求のし忘れを防ぐことができる。

 また個人経営のクリニックであってもカードやスマホアプリによる支払いに対応すべきである。患者が財布や個人小切手を忘れた、と主張してもクレジットカードを所有している確率は高く、カード支払いに対応していれば取りはぐれを防げる可能性は高い。

 3番目はテクノロジーというよりも対応策に近いが、こうした内容を医療機関に進言しなければならないほどにコ・ペイ未払いが現場で深刻な問題になっている、ということだ。特にこうした未払金の回収、保険会社との交渉などに費やされる事務的費用が医療費全体を圧迫している。

【次ページ】医療費全体に占める事務費用の割合、米国は日本の5倍

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