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  • 2021/02/08

ソニー銀行が“すべてのAWSサービス”を使うワケ、「クラウドフル活用」の内実

2001年に、いわゆるネット銀行として設立したソニー銀行では、その当初からシステム資産を極力自社で持たず、外部委託を中心としてきた。2013年からはAWS(Amazon Web Services)を積極的に採用し、直近ではAWS上での次期勘定系システムの開発を推進し、2022年度の本番稼働を目指している。「ほぼすべてのAWSサービス」を利用しているというソニー銀行の執行役員 福嶋 達也氏の取り組みをひも解く。

フリーライター 吉澤亨史

フリーライター 吉澤亨史

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

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ソニー銀行の次期勘定系システムにおけるAWSの活用とは?(後半で詳説)
(出典:日本金融通信社 主催「デジタルバンキング展」発表資料)


※本記事は、2020年12月17日から18日に行われた、日本金融通信社の主催によるイベント「デジタルバンキング展(Digital Banking Transformation:DBX2020)」での講演内容をもとに再構成したものです。

ソニー銀行のシステム運用方針とは

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ソニー銀行 執行役員 福嶋 達也氏
(出典:日本金融通信社 主催「デジタルバンキング展」発表資料)

 ソニー銀行のシステム部門の運営における基本方針はシンプルで、「低コスト、高品質、短期調達」を目指すというもの。これを福嶋 達也氏は「安い、うまい、早い」と言い換えた。「品質を高めるとお金かかり、安くすると品質下がるといわれるが、しっかり考えて取り組むことで成り立たせることができる」とした。

 具体的には、調達においては従来の「作る」から「使う(組み合わせる)」ことを優先し、低コストにしていく。コストをかけて自社開発するよりも、すでにあるものを組み合わせて活用することでコストを抑えられる。

 技術においては従来の「独自技術」から「オープン技術」を優先する。「特に、特定のベンダーの製品で固めると、安心感はあるもののコストがかかるし、それが本当に業界最適のテクノロジーであるとは限らない」と福嶋氏は指摘する。

 システム構成においても、早く作ろうとすると「密結合」になってしまいがちだが、「疎結合」で作ることを優先する。システム構成を疎結合にすることで、長期的に見て低コスト、高品質、短期調達を維持できる。ただ、疎結合を実現するためにはシステムの中枢を作り直す必要が出てくるものもある。そこでソニー銀行では現在、「勘定系本体の疎結合」に取り組んでいる。

ソニー銀行の「クラウドフル活用」への道のり

 ここで福嶋氏はソニー銀行のシステム構成の道のりを時系列で示した。同行ではAWSを2013年12月から利用を開始し、段階的に導入していく方針で、まずは銀行業務に直接関係のない社内システムと、銀行業務でも“周辺系”から導入していった。システムの移行については特に目標を定めず、それぞれのシステムの5年ほどのライフサイクルに合わせて順次、移行した。その結果、2019年までの6年で勘定系以外のシステムの移行が完了している。

 なお、2018年にAWSが大阪ローカルリージョンの運用を開始したことに合わせ、勘定系と一体になっていた財務会計システムを切り出してAWSに移行するとともに、バックアップサイトとして大阪リージョンの利用を開始した。

 また、ソニー銀行ではシンクライアント端末を自前で作っていたが、これを仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」に移行している。「AWS以外でも、たとえば外国為替証拠金取引(FX)は当初からIIJのクラウドサービスを使用しており、カスタマーセンターやコールセンターの顧客応対システムはSalesforceを利用するなど、基本的に資産を持たない形で有用なサービスを取り入れています」と福嶋氏。

 クラウド導入による効果では、インフラの運用コストに大きな効果があった。5年間のトータルでオンプレミスと比較すると、平均で約30%、最大で約60%の削減を実現している。特に財務会計システムでの効果が大きかったという。

 構築期間も導入前と比較して半分以下になった。クラウドサービスでは、オンプレミスでの機器の選定や調達、設置、設定といったことが不要になるため、リードタイムだけでも大幅に圧縮できたとした。

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クラウドの導入効果
(出典:日本金融通信社 主催「デジタルバンキング展」発表資料)

 特にコストにおける導入効果を継続して高めていくための取り組みとして、AWSの稼働状況を定期的にチェックし、PDCAサイクルを回している。チェックは年に数回実施しており、過剰な割り当ての見直しや、「夜間休日のシステム停止」と「リザーブドインスタンス」のコスト比較、オートスケーリングの検討などを行っている。

 福嶋氏は、PaaSの利用について「複数年の予約購入である『リサーブドインスタンス』は積極的に利用している。これは大幅に値引きされるためコストメリットが高い」とした。

 また、クラウドの運用についても定期的な見直しを行っている。クラウドサービスは継続的な機能改善が実施されるほか、新サービスも次々にリリースされるため、運用の最適化が見込めるためだ。

 そこで、利用サービスや設定内容の妥当性の検証を定期的に実施するとともに、設定や運用がソニー銀行のルールに即しているかも確認する。そして費用対効果から新しいサービスを利用するかどうかを判断している。

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PDCAサイクルを回し、定期的な見直しを実施
(出典:日本金融通信社 主催「デジタルバンキング展」発表資料)

【次ページ】クラウド活用にともなうシステムリスク・情報セキュリティ管理のポイント

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