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  • 2021/02/24

グリーンボンドとは何か?ESG投資や脱炭素で求められる新しい債券の仕組み

地球温暖化などの気候変動が世界中の人々の暮らしを大きく変えているなか、企業や自治体などによるグリーンボンドの発行が相次いでいる。しかし、「グリーンボンドとは何か」「どのような種類があるのか」「何のためにグリーンボンドを発行するのか」、よく分からない人も多いだろう。そこで、本記事ではグリーンボンドの基本とグリーンボンドを発行するメリット、日本のグリーンボンド市場の現状を解説する。

執筆:前田 健二、編集:しらいはるか

執筆:前田 健二、編集:しらいはるか

前田 健二
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年、経営コンサルタントとして独立。事業再生、アメリカ市場進出、コンテンツマーケティングなどを中心に指導を行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

しらいはるか エディター・ディレクター。医療系大学院修了。公務を経てライターとしてキャリアをスタート。「医療」「金融」「ビジネス」の3分野をメインに執筆。ブックライティングやコピーライティングも手掛ける。2018年よりエディター・ディレクターにシフト。現在は主にサイト運営やメディア管理を行う。

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企業や自治体によるグリーンボンドの発行が相次いでいる
(Photo/Getty Images)

グリーンボンドとは

 ICMA(International Capital Market Association, 国際資本市場協会)の最新の定義によると、グリーンボンド(Green Bond)とは、ICMAが定めるグリーンボンド原則を満たし、グリーンプロジェクトに専属的に投じられる資金をファイナンスまたはリファイナンスにより調達するために発行されるあらゆる種類の債券のことだ。

 一方、グリーンプロジェクトと共に社会的プロジェクトが同時に行われるプロジェクトに投じるために発行される債券をサステナビリティボンドと呼ぶ。なお、グリーンボンド原則を満たさないプロジェクトへ転換可能な債券はグリーンボンドとはみなされない。

グリーンボンド市場

 2009年に、世界銀行が世界初のグリーンボンドを発行した。2019年、格付け会社ムーディーズによると、全世界のグリーンボンド市場は2,500億ドル(1ドル105円換算で約26兆2,500億円)規模にまで拡大したとされる。

 国際組織のClimate Bonds Initiativeによれば、非金融企業からのグリーンボンドの発行額は2018年から2019年にかけて2倍の593億ドルになったという。

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グリーンボンドの発行額
(出典:Climate Bonds Initiative)

 グリーンボンド市場は、今後も一定の成長率を維持したまま規模を拡大してゆくと予想されている。また、今後は先進国のみならず、中国やインドなどを含む発展途上国に拡大していくと予想されている。

●ICMAによるグリーンボンド原則
 ICMAによる「グリーンボンド原則(Green Bond Principles:GBP)」は、以下の4つで構成されている。

    1. 資金使途
    2. プロジェクト評価と選定プロセス
    3. 資金管理
    4. レポーティング

 まず、資金はグリーンプロジェクトにのみ投じられることが必要だ。そのことは、法的書類および債券そのものに明確に表記される必要がある。さらに、ICMAの適格なグリーンプロジェクトのカテゴリーは以下の通りだ。

・再生可能エネルギー
・省エネルギー
・環境汚染防止および管理
・自然資源と土地利用の持続可能な管理
・海洋および陸上における生物多様性の保全
・クリーン輸送
・持続可能な水資源および下水管理
・気候変動への対応
・省資源および循環経済に適用した製品や製造技術および製造プロセス
・グリーンビルディング

●グリーンボンドの4つの種類
 ICMAは、以下のようにグリーンボンドの4つの種類も定めている。

(1)標準グリーンボンド
 グリーンボンド原則を満たす、発行者への債務訴求性を有する標準的な債券。

(2)グリーンレベニューボンド
 グリーンボンド原則を満たす、発行者への訴求性を有さない債券。債券の信用源泉を対象となるグリーンプロジェクトから生まれる事業収入、使用料、税金などの将来キャッシュフローに求めるタイプのものだ。

(3)グリーンプロジェクトボンド
 グリーンボンド原則を満たす、一つまたは複数のグリーンプロジェクトのための債券。債権者が当該プロジェクトのリスクに直接さらされるタイプのものである。

(4)グリーン証券化ボンド
 グリーン条件を満たす、当該プロジェクトを裏付け資産とする債券。債権者に対する償還財源を裏付け資産からのキャッシュフローとするタイプのもの。ABS(Asset Backed Securities)が例として挙げられる。

グリーンボンドの3つのメリット

 グリーンボンドには、どのようなメリットがあるのだろうか。グリーンボンドのメリットを「発行」「投資」「環境」といった観点からそれぞれに挙げてみよう。

●グリーンボンド発行のメリット
 グリーンボンドの発行には、ICMAが定めるガイドラインを満たすことが必要だ。また、ICMAのガイドラインは、資金使途の透明性確保や資金管理、レポーティングなど厳格な基準を定めている。グリーンボンドを発行するには、そうした基準を満たす必要があり、結果的に投資家の信頼を獲得することが可能だ。

 さらに、グリーンボンドを発行することで環境に配慮した企業という印象を社会に対して与えることもできる。特に、環境問題に敏感な消費者からの支持や賛同が得られ、マーケティング上の効果も獲得できるだろう。

●グリーンボンドへ投資するメリット
 グリーンボンドは、投資家にもメリットを与える。たとえば、米国の自治体が発行するグリーンボンドの多くは受取利息が非課税だ。長期投資によるインカムゲインを目指す投資家にとっては、大きなメリットだろう。

 また、ESG投資を行う投資家にとってグリーンボンドは、うってつけの投資先だ。全世界のESG投資は、2020年に40兆5,000億ドルに達したといわれており、8年間で4倍に拡大したとされている。また、投資家の環境意識の高まりを受け、ESG投資市場は今後も高い成長率を維持する見込みだ。

 ESG投資は、米国のベビーブーマーからジェネレーションXまでの幅広い世代から支持されていて、今後も高人気が続くだろう。

●グリーンボンドの環境面でのメリット
 グリーンボンドで調達した資金がグリーンプロジェクトに投じられ、プロジェクトが実行されることで実際の環境サステナビリティ確保への貢献が期待できるだろう。同時に、グリーンボンドを発行し、グリーンプロジェクトを展開している企業自体も、よりエコフレンドリーな企業体質に変換することが確認されている。

 トムソンロイターが行った調査によると、調査対象となった企業のすべてでCo2排出量の削減が認められ、全体では企業資産100万ドルごとに17トンのCo2が削減されたという。

【次ページ】日本におけるグリーンボンド

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