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- 2021/11/08 掲載
ブロックチェーンがもたらす知られざる衝撃、「無人企業」が現実化しつつある
ブロックチェーンを利用した新しい金融の仕組み
ブロックチェーンの利用が拡大している。日進月歩といってよい進歩だ。ブロックチェーンの応用範囲は非常に広いと考えられていたが、それが実現しつつある。これは、社会の基本的な仕組みに大きな影響を与えるだろう。金融面での利用としては、次のものがある。
第1は、中央銀行デジタル通貨だ。あと数年すれば、通貨の世界は大きく変わる。「セキュリティートークン」は、有価証券や不動産などを裏付けとして発行されるトークン(仮想通貨)だ。
ブロックチェーンを用いた保険もある。ブロックチェーンを用いて貿易金融を効率化する試みもなされている。
さらに、「分散型金融(DeFi)」と呼ばれるものが拡大している。これは、仮想通貨の取引だけでなく、融資などのサービスも行うものだ。
物流をブロックチェーンで管理する
物流の管理にも、ブロックチェーンが広く利用されている。物流の状況をリアルタイムで把握するのは難しい。特に、国際取引で海上輸送中のものなどはそうだ。ブロックチェーンで記録していくと、リアルタイムで正確な情報が得られる。
サプライチェーンの管理に役立つだけでなく、商品の真正性を証明することにも使われる。こうしたサービスは、ダイヤモンドについて、2015年から、エバーレッジャー社によって提供されている。
ウォルマートは、店頭にある野菜などの産地を証明できる仕組みを導入している。レタスの病気が発生した時、店頭商品の産地を消費者に伝える必要があったからだ。この確認に従来は数日を要したが、瞬時に商品を追跡できるようになったので、食品の汚染や中毒の拡散を防ぐことができる。
さまざまな情報をブロックチェーンに記録する
現在、医療情報は各医療機関で管理されている。それをブロックチェーンに記録すれば、さまざまな医療機関での情報共有が可能になる。このような医療情報システムは、エストニアではすでに稼働している。また、コロナワクチンの接種済みを証明するニューヨーク州の「エクセルシオール」は、アイ・ビー・エムが開発したブロックチェーンで運営されている。
スウェーデンは、2017年に、ブロックチェーンを用いて、土地・建物などの不動産や財産などの登録を開始した。
2021年3月、オークションサイトであるデジタルアートが75億円で落札されたとして話題になった。ここで用いられているのは、NFTと呼ばれる仕組みだ。ブロックチェーンで作品が本物であると証明し、その購入者を記録して所有権を明らかにする(NFTとは、Non-Fungible Token:非代替性トークン)。
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