- 2022/01/15 掲載
所得税?消費税?池上彰さんが教える「一生で一番多く収める税金」とは?
■池上彰
1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。1994年4月から11年間にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。わかりやすく丁寧な解説に子どもだけでなく大人まで幅広い人気を得る。2005年3月、NHKの退職を機にフリーランスのジャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活動。2016年4月から、名城大学教授、東京工業大学特命教授など、9大学で教える。おもな著書に『伝える力』シリーズ(PHP新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズ(角川SSC新書)、『なんのために学ぶのか』(SBクリエイティブ)など、ベストセラー多数。
■番組紹介
最近大きな話題となっているニュースの数々、そして今さら「知らない」とは恥ずかしくて言えないニュースの数々を池上彰が基礎から分かりやすく解説します!ニュースに詳しい方も、普段はニュースなんて見ない、という方も「そうだったのか!」という発見が生まれます。土曜の夜はニュースについて、家族そろって学んでみませんか?

前編はこちら(この記事は後編です)
納税は国民の三大義務の一つ

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中学「公民」の授業を思い出してください。答えは、教育(第26条「子女に普通教育を受けさせる義務」)、勤労(第27条)、納税(第30条)です。
第3章では、このうちの納税を取り上げます。私たちは一生でどれだけ税金を払うのか、仕事をして稼いだお金の何割ぐらいが税金や納めるべき保険料になるのか。その数字を知ると、きっとあなたもいろいろ考えたくなるはずです。
税金と聞いてすぐ思い浮かぶのは、所得税、住民税、消費税、酒税、たばこ税など。ほかにもいろいろな名称の税金があります。税金は安いに越したことはありませんが、私たちの社会を維持するにはそれなりのお金が必要です。憲法で納税が国民の義務とされているのもそのためです。
でも、人が一生でどれくらい税金を払うのかなんて、ふだんあまり考えたことありませんよね。また、私たちの身の回りで税金がどれくらい使われているのかについても、意外と知らないものです。
税金のことをわかっているという人も、わからない人も、ここでちょっと考えてみませんか。
家、タバコ、ビール。一生で払う税金はいくら?
社会人になって収入が安定してくると、マイホームが欲しくなる人も出てきます。賃貸住宅に住んでいる限り税金はかかりませんが、家(マンション、戸建て)を買った場合、家は持っているだけで税金がかかります。それが土地と家屋にかかる固定資産税です。東京に家を買って60年住むと一体いくら税金がかかるのか。一定の条件で計算したところ、約1,020万円という結果になりました(図1参照)。かなり大きな金額です。
最近はタバコの煙が有害ということで、よく家の玄関の前やベランダでタバコを吸っている人を見かけます。家の中で吸うと家族に迷惑がかかるからでしょう。タバコは身体に悪いとわかっていても、好きな人はやめられない(やめたくない?)ようです。中には「タバコが吸えたら長生きしなくてもいい」と言う人もいるほどです。
ところで、タバコは値段の半分ぐらいが税金だと知っていましたか?
540円のタバコを毎日1箱、60年間吸い続けたとすると、払う税金は約620万円にもなります。
では、ビールはどうでしょうか。タバコは吸わないけどビールは好きという人は多いですよね。
ビールも40%ぐらいが税金です。500ミリリットル缶を1日1本、60年間飲み続けたとします。すると、この間に払う税金は219万円になります。
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