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  • 2022/01/17

輸入価格「爆上がり」の2つの理由、企業は転嫁するのか?

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

現在、輸入価格が高騰している。原油価格の高騰と円安だ。企業がこれをどの程度、最終消費者に転嫁するかには一つの判断基準がある。ここでは円安政策からの脱却を提起したい。

執筆:野口 悠紀雄

執筆:野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Twitterアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

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円安は日本にとって本当にプラスなのか?
(Photo/Getty Images)

輸入物価が異常な上昇をした2つの理由

 今、輸入物価が著しく上昇している。対前年同月比は、2021年8月に30%を越え、11月には44%となった。1979年末から80年にかけて80%を越えたとき以来の高騰だ。

 下の図に示すように、2000年以降では、06年、08年、13年、17~19年に上昇率が高まったが、そのときより上昇率が高い。

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輸入物価の対前年上昇率

 輸入価格高騰を引き起こしている原因は、2つある。

 第1は、原油価格の上昇だ。2019年には1バレル50ドル台であり、20年には新型コロナの影響で、一時20ドルを下回るまで下落した。ところが、コロナからの回復期待によって年末に50ドルに戻り、さらに上昇を続けて、2021年10月、11月には80ドルを超えた。現在では82ドル程度だ。

 第2の要因は、円安だ。2019年には1ドル105円0110円程度だったが、20年に円高が進み、年末には103円台になった。しかし、21年初めから円安が進み、夏に110円台になった。その後さらに下落し、現在では114円程度となっている。

 これは、米国が金融緩和からの脱却をはかっており、その結果、米国の長期金利が上昇しているのに対して、日本の金利がほとんど変わらないため、日本と米国の金利差が拡大しているからだ。

 原油価格の上昇は、2012年頃にもあった。そのときには、1バレル100ドル程度の水準になった。ただし、このときは為替レートが円高であったために、国内物価に対する影響は緩和された。

日本の消費者物価の動向は、輸入価格によって決まる

 上で見た輸入価格の上昇は、今後の消費者物価にどのような影響を与えるのだろうか? これまでも、日本の消費者物価は、輸入価格の動向に大きく左右されてきた。

 日本の消費者物価指数(生鮮食料品を除く総合。2020年=100)は、1970年の初めには30程度であった。石油ショックにより、80年の初めには70程度になった。99年9月に指数が90を超えた。しかし、それ以降は、ほとんど一定だ。

 対前年同月比でみると、72年には5%程度だったが、73年には10%を超え、74年に20%を越えた。しかし、80年以降は5%程度に低下し、85年以降は2%程度になった。

 95年頃から、上昇率はほぼゼロになっている。

 最初に見た輸入価格高騰の下で、消費者物価はどうなっているだろうか? 生鮮食料品を除く総合指数の対前年同月比は、8月0.0%、9月0.1%、10月0.1%だったが、11月には0.5%となった。

 これで見る限り、輸入価格高騰は、消費者物価にあまり大きな影響を与えていないように見える。ただし、こうなったのは、携帯電話の通話料が引き下げられたことの影響が大きい。11月で、消費者物価にマイナス1.48%の寄与率になっている。

 これがなかったとすれば、11月の消費者物価上昇率は、1.98%となったはずだ。つまり、すでに消費者物価にかなりの影響を与えているともいえる。

【次ページ】一時的か永続的かの判断が転嫁に影響する

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