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  • 2023/07/28 掲載

デジタル証券市場新設も“ブロックチェーン”なし? 幹部語る「現実路線」

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私設取引所(PTS:Proprietary Trading System)を運営する大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)は、2023年11月にも日本初のセキュリティトークン(ST)取引所開設を予定しています。新市場では、ステーブルコインの利用や取引を自動的に執行する「スマートコントラクト」の実装を当面先送りし、ひとまず通常の銀行振替を利用する「現実路線」でスタートする見通しです。同社の丸山顕義・常務取締役が6月に金融庁で開かれた研究会に登壇し、計画の方向性と課題、そして今後の展望を語りました。

執筆:北湯口 ゆかり、編集:川辺 和将

執筆:北湯口 ゆかり、編集:川辺 和将

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日本初のST取引所はどこに向かうのか
(Photo/Shutterstock.com)

ODXが目指す市場の姿とは

 ブロックチェーン技術を用いて発行されたデジタル証券であるセキュリティトークンは、一般的な有価証券と比較して発行や管理のコストを抑えたまま小口化が可能などの利点が注目されています。SBIホールディングス代表取締役会長兼社長兼CEOである北尾吉孝氏が2021年に創設したODXは足元で株式の私設市場運営を手掛けつつ、セキュリティトークン市場の開設に向けて準備を進めています。

 取引の市場にはいくつかの類型があります。その一つが、ODXが目指している「競争売買市場」です。競争売買市場は、売り方と買い方が1対1で行う「相対取引」と異なり、複数の売り方と買い方が多対多で取引所に集まる取引の場です。簡単に言えば一般的な株式の取引所と同様の取引形態です。

 市場の類型には、他に「RFQ市場」もありますが、こちらは複数の参加者に対して売買を希望する証券をリクエストし、個別に取引するという仕組みを取ります。機関投資家などの大口投資者が市場の中心となるため、個人投資家向けではありません(国内の例としては、東京証券取引所が2021年に導入したETF取引のプラットフォーム「CONNEQTOR」がRFQ市場に当たります)。

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RFQ市場はシステムコストが低いが、一般投資家が入り込みにくい

新市場開設の「理想」と「現実」

 東京証券取引所などで行われる一般的な取引については、日本証券クリアリング機構が清算業務を、保振(社証券保管振替機構)が決済業務を担うことで取引の透明性の確保を図っています。私設取引所が市場関係者から信頼を得るには、既存の取引所と同水準以上の透明性をいかに確保するかがカギとなります。

 6月6日に金融庁で開かれた「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」では、ODXの丸山顕義・常務取締役が登壇。新市場の透明性確保に向けた道筋について、現実路線の「Phase1」と理想形の「Phase2」の2段階に分けて説明しました。

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セキュリティトークンとステーブルコインの交換を前提とすることで取引を即時化する
(出典:金融庁報道資料を基に筆者作成)

 ODXが理想形として目指している「Phase2」では、ブロックチェーン基盤上で参加者どうしのセキュリティトークンとステーブルコインを即時に入れ替える「約定後即時清算決済(Real Time Gross Settlement:RTGS)と呼ばれる仕組みを構築します。

 日本証券クリアリング機構などの大規模な中央清算機関を介することなく、取りはぐれなどのリスク回避を図るというものです。

 しかし、Phase2はあくまで「理想形」です。ではどのような形式で大阪デジタルエクスチェンジ市場は開始されるのでしょうか。 【次ページ】セキュリティトークン市場新設の「現実路線」と「課題」とは?

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