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- 2023/10/23 掲載
生成AI×ブロックチェーンで実現? 人間がいらない「完全自動化」組織が爆誕する未来
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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AIは「労働」、ブロックチェーンは「決定」を自動化
AIによる自動化とブロックチェーンによる自動化とを組み合わせれば、完全に自動化された組織を作ることができる。
ブロックチェーンは、人間の仕事を自動化するという点でAIと似ているが、別の技術だ。AIが自動化するのは、主として人間の労働だ。たとえば、工場のオートメーションなどである。これまで労働者が機械を操作していたものを、ロボットが代替する。あるいは、いままでは人間が自動車を運転していたが、それが自動運転車になる。これがAIによる自動化だ。
ブロックチェーンが実現する自動化は、人間の労働を代替するものではない。ブロックチェーンが代替するのは、経営者や管理者が担う決定する仕事だ。もう少しわかりやすく言うと、DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散自律型組織)、あるいはDAC(Decentralized Autonomous Company:分散自律型企業)と呼ばれる組織を作ることができる。
ビットコインは「スマートコントラクト」を応用
これにスマートコントラクトを組み合わせると、事業を自動的に運営することができる。ブロックチェーンを用いれば、書き換えができない記録を残せる。「スマートコントラクト」とは、コンピューターのプログラムの形に書くことができる契約のことで、ブロックチェーン上の概念だ。ある条件で作動するプログラムをブロックチェーンに登録し、条件が満たされた際に作動させる。そして、その結果をブロックチェーンに自動的に記録する。
これに従えば、コンピューターが自動的に契約を実行できる。こうして、契約の交渉、締結、執行などをコンピューターが自動処理し、その記録をブロックチェーンに記録するのである。これによって、複雑な契約を、短時間で、低いコストで実行できる。
この仕組みを用いて最初に行われた事業がビットコインだ。「ビットコインプロトコル」というルール(手順)に従って、取引が進められる。
これに従って、ビットコインの送金者がコインの正当な持ち主であるかどうか、保有額以上の送金をしていないか、二重払いしていないか、などをチェックしている。これによって、中央集権的な管理者なしに、取引を行うことが可能になった。 【次ページ】DeFi・P2P保険など、「金融」と相性バツグンのワケ
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