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  • 2016/01/27

ブロックチェーンとは何か? その本質とビットコイン以外の用途、セキュリティ課題は

起業家、投資家などが注目している「ブロックチェーン」をご存じだろうか。この手のバズワードにありがちな「革命だ」「世界を変える」といった話題が先行し、用語の定義も曖昧なまま広まっている。ブロックチェーンは、分散型ネットワークを使ったP2P取引の仕組みのひとつだ。「ビットコイン」の中の一技術として紹介されることも多く、セキュリティや信頼性が不安だという声もあるだろう。今回は、このブロックチェーンの仕組みと用途、普及にあたっての課題を考えてみたい。

フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。

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ブロックチェーン技術とは何か? 

ブロックチェーン署名付きの取引履歴

 「ブロックチェーン」は、ネット通販やオンラインバンキング、電子政府など、インターネット上の取引(トランザクション)の根本を変える技術として、これを利用した取引プラットフォームを開発する、あるいは提供するベンチャーに多額の投資がつぎ込まれている。

 主にFintechの文脈で語られ、管理主体が必要なく、オープンな分散型ネットワークによるP2P取引が可能だとして、規制を嫌うトレーダーや仲介業者も注目しており、投資家や金融業界を中心にブームとなっている。その一方で、ビットコインの基盤技術のひとつであることや、原理の解説が難解であることなどから、懐疑的な見方も存在し、専門家の中でも評価がいまひとつ定まらない。

 そもそもブロックチェーンとは、公開鍵による暗号化技術を使ったPKI(公開鍵基盤)によってトランザクションの履歴に一定の客観的な正当性と一意性を担保する技術のことである。ビットコインの運用においては、取引の自律性と正当性を確保するために利用されている。二者間の取引において、取引内容(AがBにいくら払ったなど)の履歴データに公開鍵暗号によって署名を行う。これを取引が発生するたびに履歴のリストとして更新管理していく。このリストのことをブロックチェーン(技術用語としてのブロックチェーン)と呼ぶ。

 ブロックチェーンは管理サーバーなどが存在するわけではなく、取引ごと(ビットコインであれば、発掘されたビットコインごと)に取引データが取引対象の一部として管理される。そして、ブロックチェーンの更新にはP2Pネットワークによる複数(多数)のコンピュータリソースによる承認が必要となっている。このような仕組みで取引の正当性を担保し、偽造や複製ができない(できにくく)している。

 もちろんこの説明だけでは、原理の説明としてはかなり不十分だ。詳細の解説は長くなるので、ネット上の取引履歴について当事者同士の電子署名をつけていくことで、一連の取引の整合性を保つ仕組みというポイントだけ押さえておいてほしい。

なぜブロックチェーンが世間で話題になっているのか?

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 ブロックチェーンとは、公開鍵暗号技術を利用したトランザクションの署名手法のひとつである。この理解を前提に、現在メディアを騒がせているブロックチェーンの有用性を考える。ブロックチェーンをP2Pと組み合わせて使えば、中央サーバーや管理主体を置かず、取引の一意性、正当性を確保することが可能だ。

 ビットコインでは仮想通貨を実現するために利用したが、EC決済やネット上の手続きなどにうまく応用すれば、管理サーバーや管理主体を置かない取引基盤ができるのではないか、それによってサービスや応用が広がるのではないか、というのが現在ブロックチェーンが注目されている理由だ。

 ショップやマッチングサイト経由ではなく、個人取引や決済も安全かつ簡単になるかもしれないし、ビジネスの取引、サービス提供にも新しいスキームが広がるかもしれない。取引データそのものにパブリックに証明可能な認証機能が実装されるなら、行政手続きの電子化がもっと進むかもしれない。このような可能性を秘めているため、投資マネーやVC界隈がブロックチェーンバブルのような状態になっている。

 しかし、ブロックチェーンをさまざまな取引に応用するとなると、P2Pである必然は薄れてくる。ビットコインでは、データのやりとりに通貨と同等な実存性と可搬性を持たせるため、中央サーバーを必要としないP2P技術は重要なポイントだった。取引やアカウントを管理する主体を必要とぜず、当事者同士で簡単かつ安全な取引を実現するためだ。

 しかし、ビジネス上の取引やサービスを考えた場合、むしろクローズなネットワーク(会員だけを対象とするなど)や管理サーバーを導入したほうが、安全性や利便性を確保しやすいこともある。そのため、現在の文脈で語られるブロックチェーンは、P2Pであることを必須とはせず、取引履歴に署名機能を持たせたトランザクション基盤、ビジネス、サービス全般の概念を指すビジネス用語として使われることが多い。

【次ページ】マウントゴックス事件からセキュリティを考える

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