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- 2023/12/07 掲載
なぜ日本生命は介護最大手を買収した? 非保険領域の「本格競争」が始まった
日本生命によるニチイ買収の効果
1999年から日本生命とニチイHDは業務提携以降、協業を進めてきたが、2023年11月29日に日本生命がニチイHDを買収すると発表したことで、多くのメディアを賑わしている。筆者はこの買収効果として大きく2点あるとみる。1つは非保険領域のサービス強化、もう1つは営業職員チャネルの強化である。
非保険領域のサービス強化については、日本生命の成長戦略との絡みがあるため次項に譲るとして、後者の営業職員チャネルの強化について、近年、個人保険・個人年金における新契約年換算保険料は伸び悩んでいる状況にある。
最新の2023年11月22日に発表した同社の2023年度上半期業績における新契約年換算保険について件数ベースで見た場合には、3つのチャネル(営業職員チャネル/代理店チャネル/金融機関窓販チャネル)のうち、営業職員チャネルが前年同期比20.6%減となった。
特に生命保険は、1年更新の損害保険と異なり、顧客との接点が薄くなりやすく、いかに顧客との接点を強化するか、各社ともに創意工夫をこらしている。そうしたなか、新たなサービスラインナップにニチイHDのサービスが加わることで、顧客との接点強化が見込まれる。
日本生命の成長戦略とは?
営業チャネルの強化以上に注目すべきなのが非保険領域のサービス強化である。今回のニチイHDの買収について、日本生命の2023年度経営計画を基に位置づけを確認してみたい。同社の2023年6月に発表した計画のうち、成長戦略として、着目すべき取り組みは2つある。
1つは、国内保険市場の深耕の中の「サービス提供体制の高度化」として高齢化社会における顧客サービスの高度化に関する取り組み、もう1つは、グループ事業の強化・多角化のうち、「新規事業の推進」にある「ヘルスケア事業や子育て支援事業、イノベーションへの取り組み」である。
併せて、両取り組みについてニチイHDが手掛ける事業との対応もみておきたい。次ページ以降で具体的に解説する。
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